才教学園校長「私立はグレー、大丈夫」

才教学園校長「私立はグレー、大丈夫」
2013年8月31日 読売新聞

 松本市の私立小中一貫校「才教学園」で、中学校の教員免許しかない教員が小学校の学級担任をするなどしていた問題で、小、中、高校いずれの教員免許も持たずに小学校で算数を教えていた女性事務員(2006年12月に退職)が採用後、山田昌俊校長(64)に「教えていいのか」と確認したところ、「私立はグレーだから大丈夫」と言われていたことが、県情報公開・私学課への取材でわかった。学園に現在在籍する教員も読売新聞の取材に対し、同様の証言をした。

 山田校長は、県の現地調査があった8月上旬から中旬にかけて教員免許法違反を初めて認識したと主張しており、県警は、疲労で入院中の山田校長の回復後、違法性を認識した時期について詳しく事情を聞く。

 同課によると、事務員は2006年秋、山田校長が経営する塾の求人募集をハローワークで見て採用面接を受けた。面接は山田校長と妻が担当。採用が決まり、塾の講師と学園の事務員を兼任することになったという。

 その後、山田校長から携帯電話に連絡があり、「才教学園の小学校で勤めてみないか」と勧められた。事務員が翌日、学園に行ったところ、山田校長から「小学校で算数を教えてみないか」と言われ、「教えていいんですか」と尋ねたところ、山田校長は「私立はグレーだから大丈夫」と答えたという。

 一方、学園の現役教員も無資格授業をするよう指示され、「免許を持っていない」と訴えたが、山田校長らから「私立と公立は違う」と反論され、山田校長の言葉を信用したという。

 山田校長は28日の記者会見で、「まずは免許よりも人物重視で採用してきた」などと述べ、採用は松山治邦前教頭(51)に相談していたと説明していた。

 県警は無資格で授業を行っていた教員から、採用時の面接や無資格授業への山田校長の関与について、任意で事情を聞いている。

 

 ◇知事「信頼回復へ真摯な取り組みを」

 阿部知事は30日の定例記者会見で、才教学園の問題に関し、「学校の不祥事に対しては厳正な対応をしないといけないと同時に、子どもたちの教育という側面では色んな配慮が必要だと思う。学園には信頼回復に向けた取り組みを真摯(しんし)に行ってほしい」と述べた。

 県は学園に対し、2005年の開校から昨年度までに約6億1000万円の補助金を交付。県は問題を受け、今年度の補助金約1億5000万円のうち約1億円の執行を停止している。補助金の返還を求めるかどうかについては、「具体的な対応についてまだ話をする段階ではない」とした。

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