買春容疑教諭逮捕 「綱紀粛正」疑問だらけ 3カ月連続の刑事事件
2009年9月4日7時8分配信 西日本新聞
出会い系サイトで知り合った女子中学生にわいせつな行為をしたとして、日田市の日田林工高校2年生担任の教諭、渡辺純容疑者(33)が逮捕された3日、県内ではあきれ交じりの怒りの声が噴出した。県内の公立校教諭が刑事処分の対象になるのは、7月から3カ月連続。昨年の教員汚職事件以降も続く倫理観の欠如による教員の不祥事に小矢文則教育長や「(小矢氏の続投を認めた)県知事、県議会にも責任がある」との批判も出ている。
県内では7月、大分市の小学校教諭の男が県迷惑防止条例違反(痴漢)容疑で逮捕され、懲戒免職処分。8月には、豊後大野市の県立高校の教諭が生徒に対する傷害罪で、大分簡裁から罰金30万円の略式命令を受けた。また、竹田市の県立高校では、剣道部員が練習中に熱射病で倒れて死亡しており、深刻な問題が相次いでいる。
日田林工高によると、渡辺容疑者は宇佐市の高校で約10年間講師をした後、昨年4月に県教委に教諭として採用された。同校のある教諭は、渡辺容疑者について「木材加工の技術を教え、柔道部の副顧問としても頑張っていた」と話す。一方で、女子生徒と知り合う際には携帯電話の「出会い系サイト」を使用しながら、生徒にはサイトを使わないように注意を促していた“2面性”も逮捕で明らかになった。中尾隆校長は「まじめで情熱を持っていると信じていた」と、容疑者の素性を把握できていなかったことを認めた。
県教育界では昨年、全国でも珍しい教員が採用試験や人事をめぐってわいろを贈る汚職事件が発覚。以降、小矢教育長をトップとする県教委は、教職員に、繰り返し綱紀粛正を訴えてきたが、効果については疑問の声も多い。この日、会見した小矢教育長は「多くの教職員は綱紀粛正を認識している。事件が起きるのは指導や浸透が十分でないからで、私を含めた管理職の大きな責任だ」と弁明するのがやっとだった。
相次ぐ教員の不祥事について、特定非営利活動(NPO)法人「おおいた市民オンブズマン」の永井敬三理事長は「教員の危機意識が低く、ふさわしくない人が少なくないと感じる。今回も氷山の一角ではないか。まず、小矢教育長が県民に説明責任を果たす必要があるが、そもそも、小矢教育長の続投を認めた知事にも責任があるだろう」と憤りをあらわにした。
=2009/09/04付 西日本新聞朝刊=