(CNN) タイで活動する著名な米国人学者が8日、王室を侮辱した罪で起訴されたことがわかった。禁錮刑を科される可能性がある。外国人が同国の厳格な不敬罪への抵触を問われるのは異例。 タイ中部のナレスアン大学で講師を務め、同国の軍事および政治に関する分析記事を執筆しているポール・チェンバース氏は同日、裁判所に出廷し、正式に起訴された。 タイは世界でも最も厳しい不敬罪を定めており、国王や女王、王位継承者を批判すると、1件の罪で最長15年の禁錮刑が科せられる場合がある。不敬罪の告発は誰でも行うことができ、有罪判決の量刑は数十年に及ぶこともある。近年では数百人もの人々が起訴される事態となっている。 チェンバース氏の弁護士によると、地方軍司令部が訴え出たことで、逮捕状が先週発行された。不敬罪に加え、コンピュータ犯罪法に基づく訴追も受けているという。 チェンバース氏は、シンガポールの政府系研究機関「ISEASユソフ・イシャク研究所」のウェブサイトに軍再編を知らせる内容を掲載したとして告発された。本人はすべての容疑を否認している。 出廷を前にチェンバース氏はCNNに対し、自身が起訴された理由についてほとんど聞かされておらず、15年間収監されるかもしれないという恐怖におびえていると語った。チェンバース氏は保釈を拒否され、勾留されている。 同氏は、CNNを含む各社が報じる東南アジア関連の記事に頻繁に意見を寄せている。 同氏の支持者らは、今回の起訴について「タイの学問の自由に対する重大な脅威」だと批判している。 弁護団の1人は「他の不敬罪事案とは異なり、この件は極めて著名な学者が関与している。その研究はタイの政軍関係に深く焦点を当てており、同氏の専門知識は学術界で広く認められている」と指摘する。 米国務省は7日、チェンバース氏拘束の報道を「懸念」しており、領事館が支援していると述べた。