残土条例 禁止区域初指定 茨城県、鹿嶋の8万平方メートル

長年にわたり違法に土砂などを埋め立て、今後も継続される恐れがあるとして、茨城県は10日、残土条例に基づき、同県鹿嶋市内にある約8万平方メートルの地区を「土砂等搬入禁止区域」に指定した。同条例に基づく指定は、規制が強化された2023年6月の改正以降、初めて。禁止指定区域では、埋め立てを行った業者だけでなくトラック運転手ら搬入者までも罰則が適用される。禁止区域の指定は、さらなる被害拡大や生活環境の悪化を防ぐ狙いがある。 指定されたのは、鹿嶋市和の山林に囲まれた地区約8万2125平方メートル。道路や水路が含まれる土地で、解体業の男性が20年以上にわたり違法に土砂などの埋め立てを継続していた。 県によると、男性はこれまで同条例違反(無許可埋め立て)の疑いで複数回、逮捕、起訴され、有罪判決を受けた。最近では23年3月~11月までの間、知事の許可なく、他人の土地を含む約7240平方メートルの土地を埋め立てたとして、水戸地裁から懲役1年6月の判決を言い渡された。男性は警察による強制捜査が行われた後も埋め立てを継続。判決が確定し、収監される24年5月までの間も埋め立てを続けていた。 県は、こうした経緯を踏まえ、今後さらに埋め立てが継続され、周辺住民らに危険が及ぶ恐れがあり、生活環境を守る必要があると判断。初の禁止区域指定に踏み切った。 指定期間は公告日から6カ月間とされ、10日から10月9日まで。期間は、県が市町村長から意見を聴いた上で、再指定することが可能。 禁止区域指定に当たっては、①土地の埋め立てなどが継続される蓋然(がいぜん)性②人の生命、身体、財産が害される恐れ③生活環境の保全を達成するための必要性-の3要件が認められることが必要とされる。 禁止区域に指定された地区は、鹿嶋市がパトロールなどを行って対応してきたが、不法行為が繰り返されてきた。市の担当者は「歯がゆい思いをしてきた。県には感謝したい」と語った。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする