<独協医大>虚履歴書で教授採用 未取得の指導医資格を記載
2009年11月13日2時31分配信 毎日新聞
昨年度に公募された独協医大越谷病院(埼玉県越谷市)呼吸器内科の教授選考で、応募して採用された現教授(50)が、応募資格の「日本呼吸器学会指導医」を取得する見込みがないのに、「09年3月取得見込み」と虚偽記載した履歴書を提出していたことが分かった。同学会職員に依頼し、本来は存在しない「取得見込み」の証明書も発行させていた。今も取得していないが、同大は「選考の詳細は回答できない」と説明を拒んでいる。
同大によると、同科の教授が今年3月末で定年退職となるため、昨年11月から後任の公募を始めた。応募条件として「日本呼吸器学会の指導医と専門医の資格を有すること」などを挙げた。
現教授が同大に提出した履歴書には、「09年3月 日本呼吸器学会指導医取得見込(日本呼吸器学会証明書添付)」と記載。「指導医取得見込みであることを証明する」との同学会名の昨年11月25日付の証明書を添えていた。ただし、取得見込み日は記載されていなかった。
同学会によると、「専門医」資格の取得後5年以上の診療経験があり、高い水準の診療、指導能力を備えた医師を指導医と認定する。しかし、現教授が専門医の認定を受けたのは06年12月で、指導医の認定を受けられるのは早くても11年12月以降。今年3月に認定を受けるのは不可能だった。
証明書について同学会は「指導医の認定には審議会の審査が必要で、取得見込みの証明書を出すことは本来あり得ない。依頼を受けた事務局職員が、使用目的も確認しないまま上司の承認を得ずに勝手に作成してしまった。今後は注意したい」と説明する。
同大は「教育の能力などを総合的に判断して採用した。処分などは検討していない」と説明。教授は「コメントできない」と話している。【佐々木洋】