朝鮮学校無償化、文科省近く最終決定 「ただの時間稼ぎだったのか」

朝鮮学校無償化、文科省近く最終決定 「ただの時間稼ぎだったのか」
産経新聞 2010年11月4日(木)7時56分配信

 ■教育内容問わず適用判断

 北朝鮮の影響下で行われる思想教育や反日教育を不問にして朝鮮学校への高校授業料無償化適用の是非を決める判断基準について、文部科学省は近く、最終決定する方針を固めた。

 国民の強い批判に配慮する形で、2カ月以上、判断を先送りにしてきた文科省だが、結論は同じ。専門家からは「本質的に、批判は何も反映されていない。時間稼ぎだったのか」と厳しい声があがっている。

 「教育内容については改善を促すことを考えたい」

 10月29日の衆院文部科学委員会で、高木義明文科相はこう答弁し、無償化批判への配慮を強調してみせた。

 審議の冒頭に読み上げた基準の大臣案概要では、教育内容を問わない代わりに、文科省が学校側に「留意事項」の改善を求める規定が盛り込まれていた。この規定を使って、思想教育や反日教育を改めさせるというわけだ。

 ただ、あくまで無償化適用が前提にある。自民党の下村博文議員から「つまり教育内容は問わず、適用を判断するということか」と詰め寄られた高木文科相は「ご指摘の通り」とあっさり認めた。

 無償化適用については、非公開の文科省専門家会議で検討されていたが、「密室審議だ」「教育内容を問わないのはおかしい」との批判を受け、8月末の結論が先送りに。文科省は民主党内や国会で、理解を求めていく手法に切り替えた経緯がある。

 批判に耳を傾ける姿勢も示したわけだが、結論は変わらなかった。朝鮮学校に法令違反があれば、無償化を取り消す規定も新たに盛り込まれる方向だが、教育内容が改善されなかった場合に取り消しできるかは明記していない。鈴木寛文科副大臣も「ケース・バイ・ケース」と明言を避けている。これでは「朝鮮学校の判断に任せる」ということと同じだ。

 古田博司筑波大大学院教授は「無償化適用の意思は初めから変わらないようだ。非公開の専門家会議は、議論をしないで決める独裁的な手法で、国民の理解を得るという手続きも無視していた。その後、改めたように見えるが、ただの時間稼ぎだったのでは」と分析している。(菅原慎太郎)

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする