相次ぐ教員不祥事、他県も苦慮…静岡

相次ぐ教員不祥事、他県も苦慮…静岡
2011年11月8日 読売新聞

長崎・広島処分件数減らした例も
 教員による不祥事が止まらない。性的なものだけでなく、4日にはされ、安倍徹・静岡県教育長が緊急の謝罪会見を開くなど、県教委が対策に苦慮している。

 しかし、教員の不祥事が相次いでいるのは静岡だけではない。全国的にも、教員の不祥事は後を絶たないのが現状だ。不祥事が相次いだ他の自治体では、どのような対応を取っているのか。(古屋祐治)

ボトムアップ型
 長崎県では、昨年度、教員の不祥事による懲戒処分が13件相次いだ。このうち性的な不祥事は3件。当時の教育長が責任を取って辞職した。

 同県教委によると、同県では2006年度から懲戒処分の件数が10件程度で推移しており、対策が急務となっていた。事態を打開しようと、同教委は、これまで県教委が指定して行っていた年3回のセクハラや飲酒運転に対する対策強化月間を、各学校独自の判断で開催するように要請。各校が自発的に不祥事対策をする「ボトムアップ型」(同県教委)だ。

 さらに、外部有識者による不祥事対策会議など、粘り強い対策を重ねた結果、今年度は11月7日現在、教員の懲戒処分件数はゼロ。同県教委は「対策が奏功してきた」と自己評価する。安倍徹・静岡県教育長が「万策尽きた」と発言したことについては、「昨年の長崎と非常に似たようなケース。大変苦労していると思う」とした。

携帯電話に規制
 広島県では、昨年度の教員の懲戒処分件数は40件(うち性的不祥事は5件)、09年度は70件と、静岡と比べても処分件数は少なくない。05年度から、懲戒処分の件数が40件未満になったことがないという。

 同県教委では、10年1月、各学校に教員らからなる不祥事対策委を設置。専門家による不祥事対策会議や、体罰やセクハラの相談窓口を各校にもうけるなどの対策を続けた。さらに、生徒に対する教員の性的不祥事が携帯電話のやりとりを端緒にしているケースが多いことから、10年10月には教員と生徒間の携帯電話によるメール、電話のやりとりを全面的に禁止した。

 こうした対策が奏功し、同県での今年度の懲戒処分件数は10月14日現在で10件にとどまっている。


 静岡県教委でも、相次ぐ不祥事を受け、各校で教職員のセクハラ問題について相談を受けるセクハラ相談員の増員、各学校へのコンプライアンス委の設置に向けて調整を急いでいるが、担当者は「他県の対策状況なども参考に、今後、県内の対策に生かしていきたい」としている。

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