授業での柔道事故死 遺族ら国会議員に訴え
京都新聞 2011年12月16日(金)22時49分配信
体育の柔道の授業で生徒が死亡する事故が相次いでいる問題で、国会議員が16日、遺族を招き学校の柔道事故に関する勉強会を東京都千代田区の衆議院第2議員会館で開いた。遺族は柔道に未熟な教員が指導する危険性や、来年度から武道を必修とする中学校の新学習指導要領が実施されることへの不安を訴えた。
民主党の国会議員が「柔道事故の実態を知りたい」と遺族らでつくるに打診した。議員のほか文科省の担当者が参加した。
同会の遺族4人が事故の状況を説明。滋賀県愛荘町の秦荘中で2009年、同中1年だった村川康嗣君=当時(12)=を亡くした母弘美さん(43)は「初心者に無謀な練習を課さなければ事故は防げた」とし、「事故原因に目を向け、事故を検証する公平、公正な機関を国が設置してほしい」と訴えた。
また、遺族らは1983年度から昨年度までに死亡した生徒が114人いることや、部活動の死亡事故の中で、柔道はほかのスポーツに比べ発生確率が高いことを指摘した。
こうした状況について参加議員からは「武道必修化は拙速ではないか」などの指摘があった。文科省の担当者は「事故の予防措置を検討している。個々の生徒に応じた指導を行うことは当然。教員の資質向上に取り組みたい」と話した。
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フランスは世界最大の60万人の柔道人口を誇り、その75%は14歳未満の子どもたちだが、フランス柔道連盟のジャン・リュック・ルージェ(Jean-Luc Rouge)会長は、フランスでの柔道の死亡事故は聞いたことがないと語った。
ルージェ氏はAFPの電話取材に対し、「もちろんスポーツなので多少のけがはある。でもフランスでは家族全員が柔道をすることができる」と述べた一方、日本の柔道選手の中には「軍のコマンド兵のようなアスリートもいる」と語った。村川さんも、「子どもたちは殴られて怖いから休ませてくれと言えない」と述べ、子どもに対する「軍事教練的な」訓練を批判する。