記者がみた2011:相次いだ教員不祥事 教育への信頼取り戻せ /静岡
毎日新聞 2011年12月27日(火)11時36分配信
静岡市葵区の県庁内の県政記者クラブに午後、突然、記者会見の連絡が入る。午後4時過ぎ、記者会見が始まり、教育委員会事務局の幹部が「県民の信頼を裏切り申し訳ない」などと言葉を並べ釈明し頭を下げる。今年度はこうした教員の不祥事の記者会見が6回あった。教員の不祥事に揺れた1年と言っても過言ではない。
県教委によると、12月までに今年度の懲戒処分を受けた教員は14人。うち免職は7人だった。懲戒理由のうち、セクハラや強制わいせつなど性的な不祥事は7件。特に悪質だったのは、県立科学技術高校の男性元教諭(47)が今年8月、女子生徒になどと脅し、体を触ったとして10月17日に強制わいせつ容疑で逮捕(その後、準強制わいせつ罪で有罪)された事件だ。 この事件を受け県教委は、県立高校の臨時校長会を実施。席上、県教委の安倍徹教育長は「万策尽きた」と発言し、物議を醸した。万策は尽きてはいなかった。県教委は犯罪心理学者や警察関係者らを外部アドバイザーに招いて不祥事根絶委員会を設置するなど、新たな再発防止策に乗り出した。
事件の舞台となった科学技術高校では発覚後、抗議のほか、中傷や教員への脅迫まがいなどの電話が殺到し、約1カ月間は教員の業務に支障を来したという。同校生徒とわかると偏見の目でからかわれることもあったという。小田卓也副校長は「まじめにやってきた多くの教員が一時やる気をなくしただけでなく、生徒への影響も大きかった。不祥事が起きた学校は、たった一人の教員のせいで信頼を失い、学校全体が不祥事を起こしたかのように受け止められてしまう」と影響の深刻さを明かす。
教員の不祥事が大きな問題となった今秋以降、11月を最後に教員の不祥事は明るみに出ていない。だが教育現場への信頼を大きく損ねたことは否めない。小田副校長は「静岡の教育界全体に不信の目が向けられたことは大きな打撃だ」と声を落とした。
今年の問題を契機に、文字通り不祥事を根絶できるかどうか、県教委などの取り組みが試されそうだ。来年は県教委の幹部が頭を下げるような場面がないことを願いたい。【仲田力行】=おわり
12月27日朝刊