育鵬社教科書採択の大田区 区報に反対派の告知 区側、ミスと釈明
産経新聞 2012年5月17日(木)7時55分配信
今年度から「日本教育再生機構」のメンバーらが執筆した育鵬社の中学教科書が使われている東京都大田区の区報に、育鵬社の教科書採択に反対する趣旨の講演会の告知記事が掲載されていることが16日、分かった。区側は「政治色の強い活動とは気づかず、誤って掲載してしまった」と釈明。今後、チェック体制を強化するとしている。
問題の記事が掲載されたのは5月1日号の「区民のひろば」という情報欄。タイトルは「エッ!子どもたちが危ない?〜大田区の教科書(歴史・公民)はどう変わったか〜」で、日時や場所などのほか、男性講師の名前が掲載されていた。講師は育鵬社の教科書を「歴史歪曲(わいきょく)」「戦争賛美」と批判する活動を続けるだった。
この情報欄には政治活動に関する記事は掲載できないと規定されているが、区側は主催者側の言い分をうのみにして「政治活動ではない」と判断したという。
同区の犬伏秀一区議は「タイトルを見て講師を調べれば、育鵬社反対の講演会だということはすぐに分かる。故意に掲載したのではないか」と疑問視。同区の清水繁教育長は「区教委で適正な手続きを経て採択された教科書に対し、公然と反対する政治的な活動を区報に掲載することは、多くの区民の意に反し、極めて不適切だ」としている。
同区は昨年8月、教育委員会で、賛成多数により歴史と公民について育鵬社を採択していた。