三重県立看護大、議会の議決経ず学費引き上げ 140万円返金検討
毎日新聞 2022/3/16(水) 9:26配信
三重県は15日、県立看護大学(津市)が、一部の課程で、本来必要な県議会の議決を経ずに受験料や入学料、授業料などの学費を引き上げていたと明らかにした。受験料と入学料の一部はすでに徴収しており、過徴収額は約140万円に上る見通し。県は違法な徴収だったとして、今後返金などの対応をしたいとしている。
同日に開かれた県議会医療保健子ども福祉病院常任委員会で公表した。
問題があったのは同大認定看護師教育課程の「感染管理」分野。新型コロナウイルス対策に対応するため、感染管理を担う認定看護師を育成することを目的に2022年度から新設する計画で、今年2月7日に入試を実施済みという。
同大は「感染管理」の受験者に対し、研修時間の増加に伴う人件費アップなどを受け、従来の同課程生徒と比べ、受験料を3万550円から5万5000円に引き上げた。入学料も約10万円から県内在住者は11万円、県外在住者は16万5000円に引き上げた。
地方独立行政法人法では、同大などの公立大学法人が徴収する料金を引き上げる場合には、議会の議決を要件としているが、県が引き上げ関連の議案を提案したのは試験から10日が経過した17日。受験を申し込んだ42人が引き上げ後の受験料を振り込み、合格した16人のうち14人が既に引き上げ後の入学料を振り込んだという。
◇常任委批判「不適切な処理」
3月11日の県議会医療保健子ども福祉病院常任委員会では、県の今後の成長戦略「みえ元気プラン」などの審査を行い、同大の料金引き上げを含む議案を全会一致で可決していた。しかし、県側から委員会で学費引き上げの経緯などについて説明はなかった。
そのため、15日の同常任委では委員から「不適切な事務処理だ」などと批判が相次いだ。県はこの日の委員会で「22年度以降に学費を徴収するものと誤解しており、議会に報告をしていなかった」などと説明し、陳謝。同委員会は15日、学費引き上げについて再審査し、全会一致で可決した。【朝比奈由佳】