進化する不法滞在 偽装結婚、学生の偽装を援助し儲ける学校まで出現…

進化する不法滞在 偽装結婚、学生の偽装を援助し儲ける学校まで出現…
Business Journal 2013年3月1日(金)7時0分配信

 出入国管理及び難民認定法(入管法)という法律をご存じだろうか?

 最近ではパリス・ヒルトン、ラッセル・ブランド、BEASTというK-POPアイドル、古くはローリング・ストーンズのミック・ジャガー、ビートルズのポール・マッカートニー、ディエゴ・マラドーナ、マイク・タイソンなどの有名人が、日本への入国を拒否されている。紅白歌合戦に7年連続で出場するほどの人気歌手であった桂銀淑は、薬物使用により日本での滞在が認められなくなり、韓国に帰国させられた。

 これらはいずれも、入管法による措置である。また、偽造旅券で入国しようとした金正男氏とみられる人物の強制送還や尖閣諸島に不法上陸した外国人活動家の逮捕といった政治的な場面でも、入管法がしばしば適用されている。

●日本における入国管理行政の実態〜様々な「共生者」

 入管法は、日本にとって好ましからざる外国人の入国及び滞在を拒否し、日本にとって有益な外国人のみを受け入れる機能を有する。同法は、日本の治安の維持、保健・衛生の確保、労働市場の安定など、出入国管理秩序を維持するために極めて重要かつ強力な法律である。

 だが、日本の外国人問題に対する対応は不十分である。入国管理局の人員及び予算が不足していることや、日本は単一民族に近いために、「外国人」という存在に対する関心が国民の間で高くないことが影響しているだろう。

 そのような間隙を突き、急増しているのが、外国人の偽装滞在である。形式的には在留資格(ビザ)を有しているものの、偽造書類を提出するなどの不法な手段で在留資格を詐取したり、許可された活動以外の就労活動を不法に行っている外国人が、かなりの数存在している。

 外国人の偽装滞在が急増する中で、それを助長させる日本人や日本の会社が後を絶たない。その手口は、外国人に在留資格を取得させるために、日本人が偽装結婚や偽装認知(自分の子でないのに虚偽の認知をする)に協力するというのが典型である。最近では、偽装滞在をほう助するための手続きを行った行政書士などの法律専門家が逮捕される事例も複数発生している。

 偽装結婚についていえば、入国管理局による審査を欺くために、住民登録上の住所を同一にし、かつ、一応一つ屋根の下に住むことによって、あたかも、同居して夫婦としての共同生活を送っているかのような外観を作り出しつつ、内実は、それぞれの部屋に鍵をかけて完全に断絶している例や、外国人「妻」が1回だけ偽装「夫」との性交渉に応じ、偽装結婚の協力者(共犯者)としての「夫」をつなぎとめ、夫婦らしい外観をことさら装う例など、手口がより巧妙化している。そのため、入国管理局が実態調査をしても、偽装結婚であることを容易には見抜けなくなりつつある。

 さらに、近時の傾向としては、入国管理局が平成17年以降、フィリピン人ダンサーなど(実際には、パブなどの飲食店において、許可されていないホステス業務に従事する者が多かった)に対する「興行」の在留資格の審査を厳格化し、ほとんど許可が出なくなったことに伴い、それに代わる入国手段として、偽装結婚による「日本人の配偶者等」の在留資格の詐取事案が増加している。

 また、就労可能な在留資格を詐取するのに必要な虚偽の在職証明書や源泉徴収票を交付したり、偽装滞在者であることを知りながら違法に雇用したりしている日本企業も多く存在する。

 昨年10月、調理師としての「技能」の在留資格で入国した中国人を単純労働のホール係として働かせたとして、餃子店をチェーン展開する「みんみん本店」会長らが入管法違反で逮捕された事件は記憶に新しい。最近は、少子化で学生確保に悩む専門学校や大学までもが、偽装滞在者の協力者(共生者)となる事案が出てきている。勉学ではなく就労が目的の外国人留学生を生徒として大量に受け入れ、適正な在籍管理を行わないばかりか、偽装留学生の在留資格の更新手続きなどに必要な虚偽の出席証明書や成績証明書を作成するのである。

 より悪質な場合には、出席率などの改変幅に応じ、偽装留学生から見返りとして金銭を徴収する例もみられる。年々、偽装滞在の手段は巧妙化し、その協力者の裾野は拡大する一方である。

●放置すれば、極端な排外主義の増長も

 いうまでもないが、日本に在留する外国人の圧倒的多数は、入管法を遵守しており、日本にとって有益な存在である。しかし、軽視できないほどの偽装滞在者が紛れ込んでおり、治安の維持や労働市場の安定に悪影響を与えている。偽装滞在者問題を放置すれば、一部で広まりつつある極端な排外主義を増長させることにつながりかねず、そうなれば、外国人にとっても日本人にとっても極めて不幸な事態となる。したがって、入国管理局においては、より厳正な審査及び、より積極的な摘発が求められる。

 ただし、事実誤認に基づく処分は、外国人に甚大な不利益を与えるので、決して許されない。よって、適正な手続きを徹底的に担保することが必要不可欠である。また、入管法に違反してしまったものの、深く反省し、再犯しない旨を具体的根拠をもって固く誓約している外国人に対しては、家族の結合等の人道上の観点から、在留を特別に許可するといった柔軟な配慮が必要となる場合もある。

 あらゆる分野において国際化が進展し、グローバル市場における競争も激化している現在、企業にとって、有能な外国人人材の確保は必須である。さらに、著しく少子高齢化が進行する日本においては、将来的に労働力や税・社会保障費の負担の担い手として、大規模な移民受け入れを求める見解もある。

 他方で、日本がどのような外国人をどれほどの規模受け入れるかということや、受け入れた外国人に対して権利義務関係を含めいかに対応するかということは、その判断を誤れば、取り返しのつかない影響を、日本社会に与える事項である。国民の一人ひとりが、どのような外国人に永住を認めるべきか、単純就労者を含めた移民を受け入れるべきか、外国人に地方参政権を与えるべきかといった、外国人への対応に関する問題意識を高め、熟議する必要がある。

 移民先進国とされてきた欧州各国の移民政策はいずれも失敗し、混迷を極め、社会不安の大きな要因となっている。日本においても、外国人問題の対応を誤れば、これまで長らく維持してきた社会の平穏性、安定性を失いかねない。まさに明日は我が身である。(一部敬称略)
(文=山脇康嗣/弁護士)

以下、大量の留学生を抱えるアヤシイ学校の記事

(同校の在学生はほとんどが留学生)

山口福祉文化大(山口県萩市)が東京都墨田区のビルに開設したサテライト教室に在籍していた留学生のうち、2011年以降、授業料の未納や授業への欠席が続いたことを理由に110人以上を除籍処分にしていたことがわかった。
 このうち70人以上の行方が確認できていないという。日本で不法就労している可能性もあるとして、法務省東京入国管理局は今年2月、同大に対して留学生を除籍する際は帰国を促すよう異例の指導を行った。

 同大では今年1月、08〜10年度に通学実態のない留学生140人を除籍していたことが発覚。その後の調査で05〜09年度の5年間、通学実態のない留学生の奨学金支給を日本学生支援機構に申請し、約1700万円を不正に受給していたことが明らかになった。

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