<いじめ>半年で14万件 急増自治体「これが現実」

<いじめ>半年で14万件 急増自治体「これが現実」
毎日新聞 2012年11月23日(金)18時9分配信

 文部科学省が実施したいじめ緊急調査で、全国公私立の小中高校などのいじめの認知件数が、4月からの半年間で14万件を超えた。だが、自治体ごとの件数には大きな差があり、専門家は「認知されていないものはまだある」と指摘。いじめの早期発見と対応が求められている。一方、現役教師からは、教育現場を支えるスクールカウンセラーや教師の増員、弁護士や警察との連携など多様な支援を求める声が上がっている。【福田隆、石丸整】

 ◇「3万件」鹿児島、軽微でも積極把握

 わずか半年で14万件ものいじめが、学校で把握された。掘りおこせば、いくらでも出てくるいじめの実態がより明確になったことについて、文科省の担当者は「できるだけ多く認知してもらい、早期に対応してもらうのが基本だ」と、今回の急増を評価する。

 一方で、都道府県ごとの件数に著しいばらつきが出た。報告すべき案件の判断基準やアンケート方法を各都道府県に委ねたためだが、対処すべき「いじめ」の線引きの難しさも改めて浮かんだ。

 最多だった鹿児島県の認知件数は3万877件。11年度の問題行動調査(395件)の78・2倍だ。鹿児島県教委と文科省が挙げる激増の要因は、アンケート方法。県教委が実施した児童生徒向けのアンケートでは、文科省が報告を求めたいじめの8態様(冷やかし・からかい▽仲間はずれ・無視▽ひどくたたく−−など)を準用し児童生徒への質問項目とし、経験があれば丸印をつけるように設定した。

 県教委義務教育課は「児童一人一人の思いが把握できるように配慮したので、回答しやすかったのではないか。軽微と思われることでも積極的に把握し、一件でも多く発見し解決する学校こそが信頼されるという認識で徹底した結果」と話す。

 他にも複数の自治体が急増したが、いずれも「これが現実」と受け止める。問題行動調査と比べ23・6倍の6781件となった奈良県。沼田守弘・県教委生徒指導支援室長は「生徒が答えやすいよう配慮した県独自のアンケートが一定の目的を達成した」という。5・6倍の宮城県教委は増加の理由を「大津市中2自殺問題の後、社会の意識が上がったため」とみている。

 一方、認知件数が少ない自治体は、児童生徒へのアンケートで「いじめられた」と回答があっても、学校の調査で「いじめには当たらない」と判断したケースが多かった。1000人あたり1・7件の埼玉、1・5件の滋賀、1・0件の福岡の3県はいずれも「友達から嫌なことを言われた」などのケースを除いた。「冷やかしやからかいを取り上げていたら現場が混乱する」(埼玉県)という判断だ。ただ3県とも、軽微でもいじめにつながりかねない事案は子供の表情の変化に注意しているという。

 子供の生命や安全が脅かされる可能性がある重大ないじめ278件について文科省は県別の件数を明かしていない。毎日新聞の取材で一部判明したのは、宮城11件、埼玉1件、奈良5件、熊本8件。中には自らの手首を切った自殺未遂の例もあるが、各地で対応済みという。

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