残る“院政”危惧?日大内田監督がはき違えている遅過ぎた謝罪と辞任の意味

残る“院政”危惧?日大内田監督がはき違えている遅過ぎた謝罪と辞任の意味
THE PAGE 2018/5/20(日) 6:00配信

日大アメリカンフットボールの守備選手が関学大との定期戦(6日・アミノバイタルフィールド)でQB選手に悪質なタックルを行い、負傷させた問題で、日大の内田正人監督(62)が19日、辞任を表明した。内田監督は、同日、西宮市内で関学大の鳥内秀晃監督(59)と小野宏ディレクター(57)が同席の上で被害にあった選手及び家族に謝罪を行い、その後の帰京前に大阪国際空港で囲み取材に応じて辞任を明らかにしたもの。

 内田監督は悪質タックル問題の発生後、約2週間も“雲隠れ”を続けてきた。
 そのことに関しては「まず関西学院大学に直接お会いして、直接謝罪するということがまず大事だということで、今まで時間的にご迷惑をおかけしました」と言い訳をしたが、その謝罪自体が約2週間も遅れているのだから言い訳になっていなかった。SNSを中心とした世論の批判と、関学大の理路整然とした抗議に、もうダンマリではやり過ごせないと思ったのだろうか。

 関学大は17日の会見で、抗議文に対しての日大の回答書に「誠意ある回答とは判断しかねる」と改めて不快感を示し、被害者への直接謝罪と今回の悪質タックルがなぜ起きたのか?の真相解明を求めていた。だが、この日の内田監督は、すべて「一連の問題は私の責任」「文書で回答する」の返答に終始した。「悪質タックルの実行を指示したのか?」も含めて、今回の問題が起きた真相の解明にいきつく説明は一切しなかった。

 この遅すぎる謝罪と辞任で内田監督は、すべてを終幕にするつもりでいるのだろうか。

“私が辞めることで責任を負うので細かい話はもういいでしょう”という出来の悪い政治家のような決着のつけ方で、今回の悪質タックルが生まれた経緯や背景、チーム体質などの問題をうやむやにするのならば、今後の再発防止にはつながらないし、他大学の不信感も拭えない。内田監督は、「本当の責任」に意味をはき違えている。文書の回答は別にして、この時点で監督として説明はすべきである。
 詳らかに事の本質を明らかにして今後の再発防止につなげることが責任である。辞めるだけならば単なる逃亡だ。そもそも「責任とは何か」もわからずになぜこの人は集団を統率する指導者のトップにいたのだろう。
 すでにネットを炎上させているが、「関西(かんせい)」を「関西(かんさい)」と読み間違いするなど、その辞任の本気度までに疑いの目が向けられている。

 アメフット界の重鎮の一人は、「内田監督が辞めるだけでは何も変わらない。内田監督が大学の常務理事は辞任せずに学内に残り、指示を受けて服従してきたコーチ陣が残るのならば、彼が辞めても内田監督の院政となる危険性がある。日大には立派なOBが少なくない。学生スポーツの本質やスポーツマンシップを理解したOBが新監督となり、コーチを含めて指導体制を一新しなければ何も変わらない。チームの出場を停止させて、第3者機関を立ち上げて、監督を誰に変えて、どういう指導を行っているかの調査を定期的に続けて、変革が認められた時点で、活動を再開させるというところまでやらなければ」という意見を口にした。

 日大の常務理事の立場にある内田監督は、その要職の辞任については否定した。そうなると監督を辞任してもアメリカンフットボール部を統括、運営する大学側の立場から影響力を持ち続けることになる。言葉は悪いが、今後もアメリカンフットボール部は内田監督の“院政”となる可能性は否定できない。実際、この日、内田監督は、「そういうことはまだ考えていません」と、コーチ陣の総辞職を否定した。
 
 日大の場合、コーチはボランディアではなく大学側が報酬(給料)を支払っている。当然、内田監督の後を受ける次期監督にも報酬を支払うことになるだろう。そもそも次期監督をどう選ぶかも重要で、その過程をガラス張りにする必要もあるが、そこに内田監督の意見が反映されることにでもなれば、次期監督は報酬を支払う側、すなわち田中英寿・理事長の側近中の側近として学内のナンバー2の地位にある内田監督に忖度をしながら指導を続けることになり、再発防止に向けてのチーム体質の変革に何も期待できないことになる。

 関学への回答書の第一弾では「指導者による指導と選手の受け取り方に乖離が起きていたことが問題の本質と認識しており、指導方法に関し深く反省しております」と、当該選手に責任転嫁するような見解を示して「直接指示」を否定していた。

 24日に期限をきった回答書の第二弾の内容次第だろうが、ここまで約2週間も謝罪と記者会見(今回の立ち話を会見とは呼べないが)を放置してきたような大学の身内による学内調査で、どこまで真実が出てくるかははなはだ疑問である。日大が、今回の問題を真剣に捉えているのであれば、第3者による調査機関を立ち上げて、徹底的に、経緯から、その背景までを調査、分析するような自浄作用を見せることが必要だろう。そうでなければ失われた信頼を取り戻すことはできない。日大に明日はないのである。

(文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)

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