「こわれそうな精神状態」の3年間 取手いじめ自殺の報告書で両親が記者会見 

「こわれそうな精神状態」の3年間 取手いじめ自殺の報告書で両親が記者会見 
産経新聞 2019/3/20(水) 20:42配信

 平成27年11月に茨城県取手市立中3年の中島菜保子さん=当時(15)=が「いじめられたくない」と日記に書き残して自殺した問題で、県の調査委員会が20日に「同級生によるいじめが要因」とする報告書を公表したのを受けて、菜保子さんの両親が同日夕、記者会見に臨んだ。父の考宜さん(47)は「真摯に向き合っていただいた証が報告書に現れている。娘の訴えが受け入れられ、やっとたどり着いた感じです」と語った。

 まな娘が受けた「いじめ」の実態解明を両親が訴えて約3年。報告書は学校の指導が自殺の「引き金になった」と指摘した。考宜さんは「担任教諭の日々の対応に問題があったと捉えている」と話す。

 考宜さんは娘の日記や生徒から聞き取った事実があったにも関わらず、自殺といじめの因果関係がなかなか認められなかったことに対し、「なぜ認めてくれないのかという不信感で、こわれそうになる精神状況の中、抑制しながら過ごしてきた」と振り返る。

 時間がかかった理由は、取手市教委が28年7月に設置した第三者委員会が、いじめ防止対策推進法が規定する「重大事態に該当しない」と議決した上での組織だったからである。翌29年5月に文部科学省からの指摘もあって議決は撤回され、三者委は解散となり調査内容は破棄された。

 こうした市教委の対応についても、県調査委の報告書は問題性を明記した。会見に同席した代理人は「取手市は寄り添うどころか、小馬鹿にした対応で怒りを持っている」と述べ、市教委側に遺族への謝罪と再発防止を求めた。

 取手市の藤井信吾市長は市教育委員会の対応について「調査がもう少し適切であれば、これだけの時間がかかることもなかった」と非を認め、遺族に対して謝罪した。(海老原由紀)

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