なぜ今?運動会で「6段ピラミッド」に批判相次ぐ 大阪・東大阪市
MBSニュース 2019/5/31(金) 17:16配信
かつては運動会でよくみた「ピラミッド」。6段だと、だいたい3メートルの高さになるそうです。こうした組体操では落下してけがをする子どもが後を絶たず、取りやめたり、高さを抑える学校が増えてきているのですが、東大阪市では今週末の運動会で6段のピラミッドに挑む小学校があるといいます。反対の声が上がる中で、一体なぜなのでしょうか。
問題が明らかになったきっかけは、29日にツイッターに投稿されたこんな書き込みでした。
『東大阪市の保護者のみなさんから、子どもの命を助けてほしいと連絡がありました。拡散お願いします』(ツイッターより)
今週末に運動会を行う東大阪市の3つの小学校が、7段のピラミッドを実施するというものでした。この書き込みをきっかけに、ネット上で中止を求めるなど批判の声が相次いだのです。
4年前に大阪府八尾市の中学校で行われた運動会では、10段のピラミッドが崩れ、生徒1人が骨折しました。相次ぐ事故を問題視したスポーツ庁は、安全が確保できない場合は組体操を行わないことを全国の教育委員会などに通知しました。
「やるのであれば、より緊張感を持って対応していただかないといけないという思いを込めた」(馳浩文科相・当時)
ただ、一律の禁止や制限はしなかったため、やり方は各学校の判断に委ねられています。東大阪市教委によりますと、3つの小学校は30日から31日朝にかけて方針を変え、ピラミッドの段数を減らすとしました。しかし、うち1校は6段で実施すると話したということです。変更の理由は「予行練習の状況を見て安全性に配慮した」というものでした。
市長時代に大阪市内でのピラミッドの全面禁止を決定した大阪府の吉村知事は、反対の立場を示しています。
「これまで練習してきたというのはあるかもしれないが、いったん立ち止まるべきじゃないかと思う。認めるのかダメなのか教育委員会が判断すべき。学校に任せるのは無責任だと思う」(大阪府 吉村洋文知事)
また、問題提起をし続けてきた専門家は明確な基準が必要だと指摘します。
「子どもを重大なリスクにさらしながら教育効果を得るといのは、教育のやり方としては非常にまずい。先生はどうしても、巨大なものをやりたいってところにブレーキがかからない。だから、自治体が明確な段数を決めて制限するという手続きが必要」(名古屋大学 内田良準教授)
厳しい声が相次ぐ中、あえてピラミッドを実施することについて東大阪市教委は…
「集団活動の中でお互い意見を出し合う中で自己実現をはかったり、協同性・協調性を身につけていくことを主な狙いとして取り組んでいる。市としてすぐに中止することは現時点で考えていない」(東大阪市教委学校教育推進室 森田好一室長)