取手中3いじめ自殺 第三者委が最終提言 教員連携の仕組み導入を
茨城新聞クロスアイ 2020/1/19(日) 9:00配信
2015年11月に取手市立中学3年の女子生徒=当時(15)=がいじめを受け自殺した問題を巡り、再発防止策を協議する市教委の第三者委員会「市いじめ問題専門委員会」(委員長、藤川大祐・千葉大教授)は18日、複数の教員が連携して対応する「全員担任制・複数担任制」の導入などを盛り込んだ最終提言を取りまとめ、市教委に提出した。当時の市教委の対応を厳しく批判し、「教育風土を抜本的に変えていく覚悟が求められる」とした。
第三者委は、生徒の悩みや困り事などを教員間で共有する「教育相談部会」制度の構築も提言。いじめに関するアンケート実施後に生徒と面談することや、生徒が相談できる外部機関の確保なども求めた。
市教委には、再発防止策を実行するための専門の役職を設けることや、外部の専門家による定期的なチェックも要請した。
提言を受け取った伊藤哲教育長は「真摯(しんし)に取り組む」と応じた。藤川委員長は「亡くなった生徒の思いをつなぐ意識で、具体的な防止策をまとめた」と述べた。
市教委は同日、全員担任制について来年度にも市立中6校に導入する方針を示した。同制度は1人の学級担任がほぼ全ての生徒を見るのではなく、担任の交代や副担任の活用も含め、複数の教員で見る。担任1人に任せず、問題が起きた際に他の教員がカバーして対応し、改善するのが狙い。
「教育相談部会」は、生徒の悩みや課題に対応する担当職員を各学年に置くなどして吸い上げ、教員間の会議で相談し、対応に当たる制度という。
藤川委員長は「提言を踏み台にし、学校ごとに(対応を)工夫してもらうことを期待する」と語った。
問題を巡っては、遺族の求めで県が設置した調査委が昨年、同級生によるいじめと自殺の因果関係を認定し、いじめ防止対策推進法に基づく調査委設置を怠った市教委の対応を違法とする報告書をまとめている。(高阿田総司)
【提言の主なポイント】
▼学校・教員
・全員担任制・複数担任制
・教員による教育相談部会
・いじめに関する教員研修
・個別生徒への複数対応
▼教育委員会
・法令順守の外部チェック
・新委員との事案経緯共有
・保護者への意向確認徹底