「拘束や性的暴行の道具を用意」と元教頭の計画性を非難…わいせつ誘拐で懲役12年判決

「拘束や性的暴行の道具を用意」と元教頭の計画性を非難…わいせつ誘拐で懲役12年判決
読売新聞オンライン 2021/3/16(火) 21:22配信

 「一連の事件は周到に計画されたもので強固な犯意に基づく。非常に悪質だ」。10歳代の少女2人を誘拐してわいせつな行為をしたとして、わいせつ誘拐と逮捕監禁などの罪に問われた静岡県の沼津市立中学校の元教頭山本英仁被告(53)の判決公判で、菱田泰信裁判長はこう指弾した。教育者でありながら、少女に対する卑劣な行為を繰り返した山本被告に下されたのは、懲役12年(求刑・懲役16年)の実刑判決だった。

 15日午後1時半に始まった公判には多くの報道陣や関係者が詰めかけた。丸刈りの山本被告はグレーのトレーナー姿で入廷。前を見据えて判決を聞き終えると、その場で一礼し、席に戻ってしばらくうつむいたまま動かなかった。

 判決によると、山本被告は2020年9月、沼津市内で少女(当時12歳)を車に乗せ、身動きできないようにして山小屋へ連れて行き、無理やりわいせつな行為をした。17年8月にも、熱海市内で別の少女(当時13歳)を同様に誘拐した上、わいせつな行為に及んだ。

 菱田裁判長は判決の中で、「被害者の拘束や性的暴行のための道具をあらかじめ用意した上、被害者の自宅付近に向かった」と事件の計画性を指摘した。教育者として2人と接点があったことを挙げて、「対象児童や生徒らを導き、その健全な発達を育むべき立場」と指摘。その社会的地位と2人の未熟さを利用したことを厳しく非難し、「極めて身勝手な犯行であって、その動機や経緯に酌むべき点はない」と断じた。

 また、山本被告は動機について、「職場でパワハラやモラハラ(精神的暴力)があり、学校や教育委員会に迷惑をかけようと思った」と語っていた。これについて、「性的興奮を得るためではないなどと犯行態様にそぐわない不自然な供述に終始し、真摯(しんし)な反省が認められない」と退けた。

 山本被告の弁護人は判決後、「控訴について本人と協議して決めたい」と語った。県教育委員会の担当者は「被害者や保護者の方々にご迷惑をおかけした。県内では児童生徒に対するわいせつ・セクハラ事案が多く、今後も再発防止に取り組んでいく」と話した。

 事件を巡っては、静岡地検沼津支部が当初、「被害者保護のため」として起訴事実を明らかにしなかった。昨年12月に公判が始まると、山本被告の悪質な手口が次々と明らかになった。

 検察側は初公判の冒頭陳述で、少女を連れ去ったレンタカーに偽造のナンバープレートをつけていたと主張した。少女を撮影した動画をばらまくと脅して口止めしていたことも明かした。被害関係者は意見陳述で「私たちの近くにいないでほしい。顔も見たくありません」と、強い怒りをあらわにした。

 10歳代前半の少女2人を誘拐してわいせつな行為をしたとして、わいせつ誘拐と逮捕監禁などの罪に問われた静岡県沼津市の市立中学校元教頭、山本英仁被告(53)に対し、静岡地裁沼津支部は15日、懲役12年(求刑・懲役16年)の判決を言い渡した。
 判決などによると、山本被告は2020年9月、沼津市で少女(当時12歳)に「荷物を運ぶのを手伝ってほしい」とうそを言って車に乗せた。車内で両手両足をロープで縛り、口に粘着テープを貼り付けて山小屋へ連れて行き、無理やりわいせつな行為をした。17年8月には同県熱海市で、別の少女(当時13歳)に「お母さんから承諾は取ってある」と誘って車に乗せ、車内で両手両足をロープで縛るなどして、わいせつ行為に及んだ。
 山本被告は、2人と勤務していた中学校や児童相談所で接点があった。菱田泰信裁判長は「社会的地位に対する信用と被害者の未熟さを利用し、自己のゆがんだ性的欲求を満たすためだけに繰り返し犯行に及んだ」と指弾した。
 山本被告はこれまでの公判で、「仕事のストレスがあり、弱いものを虐げたいという気持ちがあった」などと動機を述べていた。県教育委員会は2月、山本被告を懲戒免職処分にした。

 10歳代の少女2人に対するわいせつ誘拐や逮捕監禁などの罪に問われた静岡県富士市森島、沼津市立中学校の教頭山本英仁被告(53)の初公判が21日、静岡地裁沼津支部(菱田泰信裁判長)で開かれた。山本被告は罪状認否で「自分のやった行為で間違いありません」と認めた。
 起訴状などによると、山本被告は9月28日、沼津市内で「荷物を持ってほしい」と10歳代の少女をレンタカーに誘い、身動きができないようにして山小屋へ連れて行き、わいせつな行為を無理やりしたとされる。2017年8月2日頃にも、熱海市内で別の10歳代少女に対する同様の事件を起こしたとされる。
 検察側は冒頭陳述で、いずれの事件も少女を連れ去る際に両手両足をロープで縛って口に粘着テープを貼ったことや、携帯電話で動画を撮影し、泣いた少女に口止めをしたことなど、悪質性を指摘した。
 さらに、沼津市内の事件では、レンタカーに偽造のナンバープレートを貼り付けて待ち伏せ、レンタカーを返却する間に自身が管理する山小屋のコンテナケースに少女を閉じ込めたとした。熱海市内の事件では、児童相談所で担当していた少女に、「お母さんの了解を取っている」などと言って車に誘い込んだことや、車内を目張りしていたことを明らかにした。
 山本被告の弁護人も初公判で、「事実関係は争わない」と述べた。山本被告は公判中、目線を終始落としていた。
 県教育委員会の木苗直秀教育長は山本被告が起訴事実を認めたことに対し、「被害に遭われた方々、保護者、県民に深くおわびする。このような事態が起こらないよう、教職員の綱紀の厳正保持に努める」とするコメントを出した。県教委は近く、山本被告への懲戒処分を出す方針だ。

沼津市の公立中学校の教頭の男が、9月下旬、10代の少女を車に乗せ監禁したとして、未成年者誘拐と監禁の疑いで警察に逮捕され た。
逮捕・送検されたのは、沼津市の公立中学校の教頭、山本英仁容疑者(53)。警察によると、山本容疑者は9月下旬、県東部に住む10代の少女を車に乗せて誘拐し、車内に監禁した疑いがもたれている。
事件は少女の親から「娘が帰ってこない」と通報があり発覚した。少女はその後、保護されけがはないという。
警察は事件の詳細について被害者保護の観点から発表していない。
沼津市教育委員会の奥村篤教育長は「山本容疑者が逮捕されたことは信じがたく極めて遺憾。早急に事実を確認し厳正に対応する」とコメントしている。

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