「バカは死ね」「脳のMRIとった方がいいんじゃない?」暴言・パワハラ問題の背景 道立高等看護学院
HBCニュース 2021/11/6(土) 8:01配信
江差と紋別の高等看護学院で起きた、教員による学生へのパワハラ問題。背景には何があったのでしょうか?取材で見えてきたのは学院長と副学院長のいびつな関係でした。
元学生
「耐えられれば3年間必死に勉強して、看護師になってというのが目標だったので、ちょっと後悔はあります」
パワハラを苦に、退学に追い込まれた男性です。半年前までは、以前、病院で出会った看護師さんのようになろうと希望を持っていました。しかし…
元学生
「先生が書いているペンで『ぶっ刺すぞ』とか、『はたき倒したくなる』とか(言われた)」
教育の現場とは思えない言葉の暴力。志はすぐに砕かれました。そんな若者はほかにも…。
説明会に出席した保護者
「(子どもが)食欲もなくなり、毎日泣いて帰ってきました。教師が学生にしたことに対しての事実関係を聞きたくて、来ているんです」
去年9月以降、道南の江差町にある道立高等看護学院で明らかになった、教員による学生へのパワハラ問題。
第三者調査委員会・山内良輔座長
「ハラスメントとして認定した事案について、本日数字が固まりました」
道の第三者委員会は、道立の4つの高等看護学院のうち、具体的な情報があった江差とオホーツクの紋別の事案、101件を調査し、先月、その結果を公表しました。
「どつきたくなる」「バカは死ね」「脳のMRIとったほうがいいんじゃない」
調査書には耳を疑う暴言や侮辱、威圧的な態度が記されています。
第三者委員会は、2019年までに紋別であった18件と、2015年以降、江差であった34件、あわせて52件をパワハラと認定しました。
第三者調査委員会・山内良輔座長
「チームとしての教育が少し乏しかったのではないかとか、副学院長に事実上権限が集中しているので、独善的な運営があったのではないかということが記載されている」
第三者委員会が指摘したのは、副学院長への権限の集中と独善的な運営でした。なぜそのような状況が生まれたのでしょうか?校長にあたる学院長に話を聞くことができました。
江差高等看護学院・伊東則彦学院長
「やはり学院長なので、やはりトップであります。なので、決裁権限は自分がありますので、今まで監督者の責任というか看過した部分、見過ごした部分が多すぎましたので」
現場の状況を見過ごしたと語る学院長。というのも、実は、学院長とは、江差保健所長が兼務するポストで、学校に来るのは、週に3日程度だったといいます。
実際の学校運営は、副学院長に任せられていたのです。
江差高等看護学院・伊東則彦学院長
「事実を認識しておりませんでした。わからなかったことについては非常に反省しております」
では、副学院長は、どんな人なのでしょうか。北海道職員録を見ると、2019年4月に、この学院長と女性の副学院長は、ともに紋別から異動してきていることがわかりました。つまり、この学院長と副学院長がいた学校でパワハラが目立っているです。
江差高等看護学院・伊東則彦学院長
「(学生の報告書には)教室の点も、実習先での行き過ぎた極端なパワハラ認定行為もございました。そういったものを読んで、自分も非常に驚いたのと心が痛みました」
道保健福祉部・岡本收司地域医療推進局長
「申し訳ございませんでした」
先月29日、道は学生の保護者への説明会を開きました。
保護者とのやりとり
「看護師になろうと思って頑張っている子どもたちです。本当にお願いです。助けてあげてください」
「謝ることをしない先生もいるって聞いてるんですけど、学院長どうです?」
岡本局長
「学院長はその点については…」
学院長が学校にいないうえ、暴力的な言動で学生を追い詰める状況を放置した、道にも厳しい目が向けられています。
説明会に出席した保護者
「いろんな生徒や父母が、医務薬務課を通してパワハラを訴えてきましたが、今まで何の処分もなくここまで来てました。それはやはり教員だけではなくて、道の職員にとっても、このパワハラということの認識があまりにもなかったせいだと思っています」
学院長の責任感の欠如と副学院長への権限の集中。そして、道の対応の遅さが問題を深刻化させたと第三者委員会は指摘しました。
元学生
「(道や学校に今後望むことは?)学生、保護者とかの意見を聞いて、道の人たちの考えだけでなくて、当事者である人たちの意見を聞いて進めるべきだと思います」
地域医療を支える人材を育てるはずの学校で起きたパワハラ問題。男性には、看護師になるために借りた奨学金の返済が待っています。
11月5日(金)「今日ドキッ!」午後6時台