(朝鮮日報日本語版) ソウル市教育監選挙に表れた20代の「反・全教組」感情
朝鮮日報日本語版 2012年12月21日(金)14時5分配信
19日に投票が行われた韓国大統領選挙とソウル市教育監(教育長に相当)再選挙で、ソウル市の20代が「反・全教組(全国教職員労働組合)感情」をあらわにしたことが分かった。
地上波テレビ局3社の出口調査結果を本紙が20日に分析した結果、ソウル市教育監再選挙では、20代の有権者の41.6%が全教組委員長出身の李秀浩(イ・スホ)氏に、48.4%が保守系統一候補の文竜鱗(ムン・ヨンリン)氏に投票した。保守系の文竜鱗氏が支持率で6.8ポイント上回ったわけだ。一方、大統領選挙では、与党セヌリ党の朴槿恵(パク・クンヘ)候補支持が31.9%、野党・民主統合党(民主党)の文在寅(ムン・ジェイン)候補支持が67.7%となり、文在寅氏に支持が集まった。
ソウルの30代の有権者は、ソウル市教育監再選挙で41.1%が文竜鱗氏を、51.0%が李秀浩氏を支持し、李秀浩氏の得票率が文竜鱗氏を10ポイントほど上回った。また大統領選でも、ソウルの30代有権者の支持率は朴槿恵氏が29.3%、文在寅氏が70.5%で、文在寅氏が圧倒的に支持された。
こうした現象をめぐり「現在の30代は、全教組が『(保護者からの)寸志を受け取らない運動』など『真の教育』に力を注いでいたころに教育を受けた世代だが、現在の20代は、全教組が『理念教育』に重きを置いた時期に中学・高校時代を過ごし、全教組に対する拒否感を持っているため」という分析がなされている。
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(朝鮮日報日本語版) ソウルの20代が全教組を嫌うワケ
朝鮮日報日本語版 2012年12月21日(金)14時3分配信
ソウルでは19日、韓国大統領選挙と共に教育監(教育長に相当)の再選挙が行われた。この日の選挙では20代有権者の多くが、大統領選挙では進歩系の文在寅(ムン・ジェイン)候補に、教育監再選挙では保守系の文竜鱗(ムン・ヨンリン)候補に投票した。なぜこのようなねじれ現象が起こったのか。
現在の20代は、全教組(全国教職員労働組合)が合法化された1999年以降に中学・高校に通った世代だ。全教組は、89年に発足した当時は「真の教育」を旗印にして「寸志を受け取らない運動」「賛助金を受け取らない運動」などを繰り広げ、生徒の人気を集めた。教科ごとに研究グループを結成し、模範的授業の事例集も作った。
中学校に勤務するパク教諭(36)は「当時『全教組の先生』といえば、生徒たちと友人のように打ち解けて過ごし、情熱的に教えるというイメージがあった。そのため自分の子どもも、そのような全教組の先生に教わればいいという思いを、今でも持っている」と語った。また主婦のシンさん(36)は「当時、生徒にかなり人気のあった全教組の先生が、非合法団体に加入したということで解職されたとき、生徒たちは校門の前で泣いた。それほど全教組の先生には良い思い出がある」と語った。
当時、中学生・高校生として全教組の教師を見守ってきた現在の30代は、全教組出身の李秀浩(イ・スホ)候補に投票する傾向を示した。
しかし全教組は、99年に合法化された後、2000年代に入ると過度に政治的・理念的な活動に没頭するようになった。03年にはNEIS(教育行政情報システム)導入に反対して年暇闘争(集団的に年次休暇を取る形式の抗議活動)を繰り広げ、04年にはイラク戦争派兵に関連して反戦・平和をテーマにした「契機授業(正式な教育課程とは別に時事問題などを扱う授業)」を行い、問題となった。06年には、全教組の教師がパルチザン追悼行事に生徒を連れていったという事実が判明し、08年のBSE(牛海綿状脳症)問題では、全教組の教師が生徒にろうそくデモ参加を呼び掛けるなど、理念闘争に乗り出した。この当時中学・高校に通っていた世代が、今の20代の主軸だ。
大学生のソさん(26)は「学校に行くと、全教組の先生が組合の行事に出かけて授業がないということがあり、全教組に対するイメージはあまり良くなかった。全教組出身の李秀浩候補も、政治的に余りにも偏向しているようで、嫌悪感を抱いた」と語った。会社員のイさん(29)は「高校時代、全教組に入っていた担任の先生が、国家保安法違反の容疑で警察の取り調べを受け、生徒にも北朝鮮や政治の話を随分していて嫌だった。そんな全教組(出身の候補者)が教育監になってはいけないという思いで、文竜鱗氏を選んだ」と語った。
20代のころに全教組の活動に参加し、その後脱退したソウル地域の40代の教師は「このごろは20代の若い教師も、全教組が組合員の福祉や生徒の教育よりも、政治・理念活動の方に注力しているという認識を持っており、全教組に入りたがらない。要するに全教組の教師が、20代の後輩たちに背を向けられているということ」と語った。
全教組の組合員に占める20代の教師の割合は、09年の6.5%から、昨年は2.6%にまで急減した。
20日に判明したソウル選挙管理委員会の最終開票結果によると、ソウル市教育監再選挙の投票者数は624万6564人(投票率74.5%)だった。しかし、このうち87万6609人(14%)は、投票用紙に候補者名を記入しなかったか、誤った名前を記入していたため、無効票とされた。文竜鱗氏は、有効投票の54.17%(290万9435票)を獲得し、37.01%(198万7534票)を獲得した李秀浩氏を17.16ポイント差で破った。
どこかで見たような光景ですな