いじめ実態どう把握、県内教委が苦心「記名か無記名か、選択式か記述式か」/神奈川

いじめ実態どう把握、県内教委が苦心「記名か無記名か、選択式か記述式か」/神奈川
カナロコ 2013年1月13日(日)16時0分配信

 いじめをはじめ、子どもをめぐる問題が相次いで表面化している。それらを発見する一つのツールである児童生徒向けアンケートは、県内公立校での実施率が2011年度96・7%で過去最高となった。しかし、児童生徒がどこまで実情を記述しているかは分からない。記名か、無記名か−。実態をすくい上げるため、各教育委員会はアンケート様式に工夫が求められている。

 実際に使用するアンケートの様式は、基本的に各学校に委ねられているが、サンプルを作成し学校に提示する立場の教委は、児童生徒にとっての「回答しやすさ」に腐心する。特に記名式や無記名式、選択肢式や自由記述欄の有無が大きなポイントになっているという。

 ただ、学校は内容すべてを教委に報告する仕組みにはなっていないため、教委はどの程度の児童生徒が記述欄に記入したかを把握していないのが現状だ。

 相模原市教委学校教育課の小泉勇児童生徒指導担当主幹は「児童生徒はクラスメートを気にして、記述欄への記入に抵抗がある」と話す。「進行中で深刻な事例ほど記名式では回答しづらい」とする報告を、国立教育政策研究所も12年6月にまとめている。

 同市の小中学校のアンケートは、記名式や記述欄のあるものが多いというが、「安心して書けることが重要」として、年度内にも様式に関する指針をまとめ、各校に伝える方針という。

 横浜市教委は12年12月、これまでのものとは別に全児童生徒対象の統一アンケートを初めて実施した。無記名式で記述欄もなく、「仲間はずれにされたり無視されたりすることがあったか」などの設問に対して選択肢で回答する形式だ。ただ、記述しやすい半面、当該の児童生徒を特定する難しさが残る無記名式。同市教委人権教育・児童生徒課の酒井徹課長は「件数を把握し、実例を見つけるのは教師の役割」としている。

 一方、「問題解決のために正確な実態把握が重要」として記名式を選ぶ川崎市教委は、設問の設定や文言に工夫を凝らす。

 10年にまとめた学校生活を問う児童生徒向けのアンケートでは、選択肢の文言を「仲間はずれや無視をされている人がいるか」などと表現を客観的にし、いじめという単語も使っていないのが特徴だ。

 また、友人との関わり方などを問うアンケートを合わせて実施することで、「いじめの有無やクラスの全体状況の多角的な把握に努めている」(同市教委指導課の安部賢一担当課長)という。

 横浜国立大教育人間科学部の高木展郎教授は「アンケートは、子どもを総合的にきめ細かく見るための一つの判断材料としてほしい」と話している。

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