人権侵犯事案で「いじめ」倍増 和歌山地方法務局
紀伊民報 2013年3月14日(木)16時53分配信
和歌山地方法務局は、2012年に受け付けた人権侵犯事案の状況を発表した。昨年に救済手続きを始めた事案は前年比1・5%増の263件。そのうち学校でのいじめは30件で前年の13件から倍増した。法務局によると、大津市の中2男子自殺問題で社会的に大きく注目されたことが影響しているという。
法務局では、被害者からの申告や近隣住民などから寄せられる情報に基づき、人権侵害の疑いのある事案を調査し、関係機関との調整や通告、人権尊重に向けた啓発活動などの対応をしている。
集計によると、法務局が昨年1年間に救済手続きに当たった人権侵犯事案のうち「行政サービスに不公平がある」「学校で子どもがいじめられている」など、公的機関に関係するものは66件で、学校のいじめに関する事案が増えたため、前年より約6割増加した。
いじめに関する事案のうち、関係機関の紹介や助言などで29件を処理した。具体例として、女子中学生の保護者から相談があった学校内のいじめ問題では、いじめの認識を持っていなかった学校側に対応を求めるとともに、保護者と学校が話し合い情報を共有するよう調整したという。
公的機関案件以外は197件で、家族間などの暴行虐待案件(57件)や、インターネットで誹謗(ひぼう)中傷的な内容を書き込まれるなどプライバシーに関する案件(14件)、女性や高齢者に対する差別待遇(23件)などだった。
また、和歌山地方法務局が開設する相談電話「子どもの人権110番」でも、いじめに関する相談件数が増加。開設した06年以降最も多い49件で、前年より24件増えた。暴行や虐待、家族関係など全体の相談件数も350件で過去最多だった。
和歌山地方法務局人権擁護課によると、いじめに関する事案や相談が増えたのは全国的な傾向という。同課の担当者は「昨年の夏以降に件数が増加しており、大津市の中2男子自殺問題の報道で社会の関心が高まったのではないか」と話している。