勤務中のたばこ携帯は禁止 大阪市の“消せない”喫煙不祥事

勤務中のたばこ携帯は禁止 大阪市の“消せない”喫煙不祥事
産経新聞 2013年4月18日(木)12時45分配信

 大阪市職員が禁止されている勤務中の喫煙に手を出すケースが後を絶たない。不祥事抑制に取り組む市は懲戒処分件数の数値目標を掲げているが、喫煙絡みの処分が全体の数を押し上げており、目標達成が困難な状況に追い込まれている。このため、17日の幹部会議で、勤務中のたばこ携帯の禁止を決定した。ただ、たばこ問題の専門家は「職員を締め付けるだけでなく、禁煙への取り組みを評価する仕組みが必要だ」と指摘している。

 ■相場は1カ月

 「目標達成は厳しい。喫煙をターゲットに対応策を実施したい」。17日に開かれた幹部らによるプロジェクトチームの会議でやり玉に挙げられたのはたばこだった。

 市では昨年6月〜今年5月の懲戒処分件数について、市教委を除く部局で例年より半減の計71件に目標設定したが、3月末時点ですでに63件に達した。そのうち喫煙は約2割の12件。数値目標を掲げていない市教委でも同期間、喫煙による懲戒処分が11件に上っている。

 喫煙は従来、懲戒処分ではなく、注意の対象だった。だが昨年4月に市営地下鉄の駅で助役が喫煙して火災報知機が作動、運行に支障が出るトラブルが起きたことをきっかけに、橋下徹市長が厳罰化に舵を切り、現在は停職1カ月が処分の相場となっている。

 ■灰皿撤去、巡視

 各部局では職場や公用車からの灰皿の撤去、管理職らによるパトロールなどを実施してきたが、効果はいまひとつ上がっていない。

 喫煙問題の発端となった市営地下鉄では今月3日にも御堂筋線天王寺駅の助役ら2人が駅構内で喫煙したことが発覚した。交通局関係者は「1人でこっそりではなく、連れだって喫煙している。危機感が希薄すぎる」と憤る。

 昨年6月から懲戒処分ゼロを続けてきた港湾局でも5日、40代の男性技能職員が倉庫内で、同僚が近くにいたにもかかわらず喫煙に及んだ。同局幹部は「現場では喫煙が常態化している可能性がある」と危機感を募らせる。

 特効薬がない中、この日のプロジェクトチームの会議では、苦肉の策として、勤務中のたばこの携帯を禁止することを決めた。たばこの所持自体は禁止ではなく、各職場で順次、個人のロッカーに保管させたり、管理職が一括で預かったりするという。

 ■「隠れても吸う」

 こうした市の方針に対し、懐疑的な見方もある。日本禁煙学会の作田学理事長は「たばこは肉体的、心理的な依存度が強く、職員への締め付けを強くしても隠れて吸う人はいるだろう」と指摘。その上で、職員が禁煙外来に通院するなど努力をした場合に評価する仕組み作りを提唱する。

 市幹部も「職員の健康管理のためにも禁煙の推奨をあわせてやっていく必要がある」とする一方、こんな嘆きも。「市長の大号令で喫煙への懲戒処分が始まったが、これさえなかったら、数値目標は達成できたのに…」。

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