(朝鮮日報日本語版) 【社説】試験問題不正入手の予備校追放を
朝鮮日報日本語版 2013年5月4日(土)10時12分配信
韓国では4日、米国の大学に留学するための進学適性試験(SAT)が実施される予定だったが、急きょ中止された。試験を運営する米国カレッジボードは、韓国の一部語学予備校がSATの試験問題を不正入手して、利益を上げていた疑いがあるとの情報を韓国検察当局から入手したと説明。SATの試験不正は中国や東南アジアでも時折みられるが、世界的には極めてまれな事件と言える。検察は現在、SATの試験問題流出疑惑が浮上したソウル江南地区の予備校12カ所と関係者10人以上に出国禁止処分を下し、捜査を進めている。
先月には金銭を受け取り、国際コミュニケーション英語能力テスト(TOEIC)やソウル大が運営する英語能力試験「TEPS」の問題を不正入手し、受験生に漏えいしていた組織が警察に摘発された。手口は組織のメンバーが受験生になりすまして試験会場に入り、問題を小型カメラで撮影し、試験場外にいるグループに伝送。その後、スマートフォン(多機能携帯電話端末)などを使って正答を受験生に知らせるものだった。警察の調べによると、組織のメンバーは主に名門大学や外国の大学を卒業した英語学校の講師で、不正な情報提供を受けた顧客には放送局の現役女性アナウンサーや大企業の社員、ロースクール(法科大学院)合格者などが含まれていた。
韓国は既に、試験不正が日常的に行われている国という汚名を国際的に着せられている。2007年にはSATの問題流出で、韓国人受験生900人の試験成績が全て取り消された。02年には米国の大学院入学資格試験であるGREの問題流出で、韓国ではコンピューターを利用したCBTと呼ばれる方式の試験が廃止された。韓国の受験生は11年にCBT方式のGRE試験が再開されるまで、8年間にわたり、日本に出向いて受験する必要があった。米国の看護師資格試験も同様の理由で、07年から韓国での試験が廃止された。
一連の事件は、どんな手を使ってでも点数さえ取れればよいという学生や保護者、彼らに不正をそそのかして収益を上げようとする予備校が一体となって起こした「貪欲ショー」だ。試験不正が摘発されるたびに、関与した講師だけが軽い処罰を受けるだけで、予備校は堂々と経営を続けており、そうした予備校は評判が上がり、多額の利益を上げている。現行法では最も厳しい処分でも90日間の営業停止がせいぜいで、摘発された予備校は代表や看板をすげ替え、すぐに営業を再開する。韓国は中国を「パクリの本場」と責められない立場だ。韓国はコピー商品ならぬコピー人間をつくり、国際社会に送り出している恥ずべき状況にある。今こそその連鎖を断ち切らなければならない。