いじめ防止法きょう施行 大津自殺の遺族「命守る使命感持って」
産経新聞 2013年9月28日(土)7時55分配信
「いじめ防止対策推進法」が28日に施行されるのを前に、新法制定のきっかけとなった大津市の中2男子=当時(13)=の父親(48)が27日、同市内で記者会見を開き、「現場の教師が子供の命を守り抜くという強い使命感を持ってほしい」と思いを語った。
父親は「学校が、子供の命が危険にさらされる場所であっては断じてならない」とした上で、「教師の方々が法の趣旨を正しく理解するとともに、『教育従事者が率先して変わらなければならない』という意識改革をしてほしい」と強調した。
また、同法で「いじめの防止基本方針」をつくるよう国や地方自治体、学校に義務づけていることに触れ、「現場の意識を変える上でとても重要。各教育委員会が学校の方針の運用をきちんと確認して指導すべきだ」と述べた。
法の施行と同時に策定の予定だった国の基本方針がずれ込んでいることにも触れ、「遅れは仕方ないが、第三者調査委員会の人選やアンケートの開示方法などを明確にし、地域ごとに大きな差が出ないよう具体的な指針を一日も早く示してほしい」と訴えた。
同法をめぐっては、条文が曖昧なため、施行を前に学校や教育委員会が法を逆手に取るような解釈をして遺族を失望させるケースも露呈している。遺族側からは「法が効力を発揮するよう公平な調査と情報提供の責務を明記してほしい」という声も上がる。
一方で、学校現場でも新法に対して戸惑いがある。東京都大田区の前教育委員で「ストップいじめプロジェクトチーム」の桜井光政弁護士は「教員たちが新たないじめ対策について負担感を抱いている」と指摘。
「新法を上から押しつけられたという感覚で捉えている教員もいる。基本方針には現場の先生たちの助けになるような方策を盛り込んでもらいたいし、先生たちも『いじめ対策にはこういう援助がほしい』と声を上げるべきだ」と話した。