いじめ対応、機関常設 防止法運用へ国が方針

いじめ対応、機関常設 防止法運用へ国が方針
産経新聞 2013年10月12日(土)7時55分配信

 今年6月に成立したいじめ防止対策推進法を受け、文部科学省の有識者会議は11日、条文表記があいまいな同法の運用を定める国の「いじめ防止基本方針」を取りまとめ、下村博文文科相に提出した。自殺など重大ないじめに対し、教育委員会に調査を担う付属機関を常設することを促し、その構成員に第三者の参加を求めて中立性を確保した。

 基本方針は、重大ないじめについて、被害者が(1)自殺を図る(2)身体や金品に大きな被害を受ける(3)精神疾患になる(4)1カ月程度の不登校になる−と定義した。

 その上で、いじめ防止法で定められた調査組織の設置について、問題が起きてから立ち上げるのでは遅いと指摘。各教委の下に日頃からいじめに対応する付属機関を設置し、この機関が調査を行うことが「望ましい」と踏み込んだ。

 調査組織の構成については、弁護士や医師ら専門知識のある第三者を具体的に明示。いじめ事案の関係者と利害関係がないことや、学会や職能団体の推薦を要件に盛り込むことで中立性を確保した。

 被害者側の「知る権利」については、教委や学校が被害者側に「情報を適切に提供する責任がある」と明記した。

 一方、学校現場に対しては、教師がいじめ問題を抱え込まず、組織的な対応をとる必要性を強調している。いじめ防止法で義務づけられた問題対策の常設組織についても、相談・通報窓口と位置づけるなど役割を盛り込んだ。

 基本方針の提出を受けて下村文科相は「各地域、学校で確実に取り組みが進むよう基本方針の周知徹底を図りたい」と述べた。

 有識者会議座長の森田洋司大阪市立大名誉教授は「これを機に国、教委、学校がいじめに真摯に向き合う姿勢を示してほしい」と話している。

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