多くのウサギが生息し“ウサギの楽園”として知られる広島県竹原市の大久野島で、ウサギを蹴った男を取り押さえたとして、竹原署は30日、熊本県合志市のウサギ写真家ユニット「uta」の中村隆之さん(49)と妻麿矢さん(46)に感謝状を贈呈した。中村さんは「ウサギさんを守りたい一心で無我夢中だった」と当時の心境を語った。 2人は21日午後5時半ごろ、島の遊歩道で大津市の会社員の男(25)がウサギを蹴っている姿を目撃し、その場で取り押さえた。男は署員に引き渡され、現行犯逮捕された。フェリーがしばらく来ない日没の時間帯で、付近に他の人はいなかったという。 環境省中国四国地方環境事務所によると、島では昨年11月26日から今月22日までに、計99匹のウサギが死んでいるのを確認。中村さんらは、不審死が続いていたことから人為的なものと推察、今月21日に複数の死んでいるウサギと骨折しているウサギがいたことから、虐待している者がいるとみて、複数人で警戒していたところ、ニンジンでウサギを誘いだそうとしている不審な男を発見。望遠レンズを使うなどして行動を追い、男がウサギを蹴ったのを確認した。麿矢さんは「なぜウサギを傷つけるのか」と嘆き、中村さんは「島の観光の在り方も見直してほしい」と言及した。 大久野島は瀬戸内海に浮かぶ周囲4・3キロの島で、野生のウサギが多数生息する「ウサギの島」として知られ、多くの観光客が訪れている。人とウサギの安全のため、(1)ウサギに触らない。手から直接エサをあげない(2)道路や歩道上でエサをあげない。足もとのウサギに注意する(3)あげたエサを食べ終わるまで見守る。食べ残しは持ち帰る(4)ペット(生き物)を島に連れてこない。ウサギを持ち出さないーーのルールがある。