世界的にも際立つ「超少子化」と急速な高齢化に直面する韓国。少子化の影響は北朝鮮の脅威に対峙する韓国軍の兵力にも及び、規模の維持が難しくなっている状況に安全保障への懸念を深める声が上がる。 韓国政府は少子化対策に巨額の予算を投じてきたが見合った効果は出ておらず、専門家は政府の姿勢への批判や認識のずれを指摘する。少子化という同じ問題を抱える隣国として、韓国の現状をどう見たらいいのか。現場を歩いた。(敬称略、共同通信編集委員・佐藤大介) ▽「自分の兵役期間中に、同期の女性はキャリアアップした」 昨年11月、名門ソウル大のキャンパスで、化学を専攻する3年生の朴哲秀(パクチョルス)(22)=仮名=は、苦々しそうに口元をゆがめた。「同期入学の女性が大学院に進み、教授の補佐役として授業をする側になっていた。自分は勉強をする時間もなかったのに、女性だけがキャリアを積んでいくのは不公平だ」。朴は1年半の兵役を終え、10月に復学したばかりだった。