天竜林業高前校長、起訴事実を全面否認
2009年7月29日 読売新聞
大学推薦入試「調査書改ざん指示してない」
県立天竜林業高校(浜松市天竜区)で起きた大学推薦入試の調査書改ざんに絡む汚職事件で、見返りに現金を受け取ったとして、虚偽有印公文書作成や加重収賄などの罪に問われた同校前校長の北川好伸被告(61)の初公判が28日、静岡地裁浜松支部(北村和裁判長)であった。北川被告は罪状認否で、「改ざんの指示はしていません。現金を受け取ってもいません」と述べ、起訴事実を全面的に否認した。
起訴状によると、北川被告は2006年9月、男子生徒の調査書の「評定平均値」が、進学を志望する東京都内の大学の推薦基準に達しておらず、担任教諭ら2人に指示して評定平均値を3・1から3・5にかさ上げさせた。その謝礼と知りつつ、06年12月18日と07年12月10日頃の2回にわたり、校長室で男子生徒の親族から、それぞれ現金10万円を受け取った――などとされる。
冒頭陳述で検察側は、北川被告が親族から進学相談を持ちかけられた際、担任らに「何とかならないか」などと繰り返し発言した経緯から「改ざんの指示」を指摘。合格後に謝礼として現金を受け取っており、加重収賄に該当するとした。
弁護側は、改ざんについて「関与はしていない。点数を上げるなどの具体的な指示はしておらず、被告の『高い成績が望ましい』などの発言を教諭らが曲解した」と反論。金品の受領について「事実はない」とし、いずれも無罪を主張した。
公判では、実際に調査書を改ざんした担任教諭ら2人(いずれも虚偽有印公文書作成・同行使容疑で書類送検、不起訴)に対する証人尋問も行われた。教諭らは、北川被告の「何とかならないか」などの発言について、「時期や状況から(意図は)調査書改ざん以外にはないと感じた。(改ざんは)2人で数字をあげるしかないねと相談した結果だった」と証言した。
生徒の親族は、便宜への謝礼として北川被告に現金計20万円を渡したとして、08年10月に浜松簡裁に略式起訴され、同簡裁が罰金70万円の略式命令を出し、有罪が確定している。