市立校教員 今年度 逮捕者7人に

市立校教員 今年度 逮捕者7人に
過去2年合計に並ぶ “孤立化”指摘の声も

タウンニュース2009年11月12日号(横浜市)

 横浜市立学校の教員の逮捕者が今年度7人を数え、過去2年の合計に並ぶ事態となっている。市教育委員会は研修などで不祥事防止に取り組むが、逮捕者が相次ぐ状況に頭を悩ませている。現場の教員からは教員同士のコミュニケーション不足や教員の孤立化を遠因に指摘する声も出ている。

 今年4月以降、逮捕された7人はいずれも男性で、2年目の教員が3人、20年以上勤務するベテランが3人とキャリアはさまざまだ。容疑は傷害、窃盗といったほかに、痴漢や児童買春といったわいせつ関係が目立つ。

 市教委によると、現在、市立校の教員は約1万5千人。一昨年度は4人、昨年度は3人が逮捕されており、今年度はすでに過去2年の合計に並ぶ事態となっている。

 この状況に市教委教職員人事・企画部の大野敏美部長は「教育の信頼を揺るがす緊急事態で危機感を持っている」という。逮捕者が増加する原因は「公務員としての意識の欠如としか言いようがない」としている。

 市教委は8月、市立全校に不祥事防止を目的とした半日以上の研修実施を指示するなどして不祥事防止の意識を徹底させている。

多忙でストレス

 教職員の多くが加入する横浜市教職員組合では、逮捕者が出る事態に「大変残念なこと」とコメント。政金正裕書記長は事件の遠因として教員の“多忙さ”を挙げた。「トップダウンの施策で現場の教員はとても忙しく、ストレスを感じている」と話す。多忙なため、教員間でのコミュニケーションが不足し「仲間の変化に気が付かないのでは」と教員の孤立化を指摘。不祥事防止には「まず、多忙さを解決することが重要」としている。

生活実態把握へ

 市教委は年内にも飲酒量などの生活実態を問うチェックシートを全教員に配布する予定。大野部長は「従来より踏み込んだ方法だが、シートを用いて校長と教員がコミュニケーションを図ってほしい」と期待している。しかし、市立小学校の元校長は「自己申告では本音は出ない。市教委の不祥事防止のポーズとしか思えない」とシートの効果を疑問視する声も出ている。

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