神奈川県が朝鮮学校の拉致授業を視察 疑念「一時的対応」

神奈川県が朝鮮学校の拉致授業を視察 疑念「一時的対応」
産経新聞 2011年11月10日(木)9時54分配信

 朝鮮学校に対する神奈川県の補助金支出をめぐる問題で、県と県議会は9日、神奈川朝鮮中高級学校の授業を視察した。黒岩祐治知事が交付継続の前提として拉致を「あってはならない非人道的行為」と記述した補助教材の使用を求めており、その確認が目的。授業では拉致を「国家犯罪」と教えたが、議会内では「準備された授業を見せられ、補助金を認める理由にされる」との危惧も出ていた。

 視察は、拉致の授業実施の確認方法を県が打診し、学校側が授業参観を提案して実現。職員4人と県議5人が訪問し、教科書の反日的な記述が問題となっていた「現代朝鮮歴史」の高校3年2クラス30人を対象とする合同授業を視察した。

 職員らによると、授業では特別に日本語が使われ、学校が使用を約束した視聴覚教材も拉致被害者が帰国した場面など約6〜7分を上映。教員が「拉致はいかなる理由でも正当化できない」などと問いかけ、生徒が「自分や家族が拉致されたらと考えると恐ろしい」と答える場面があった。

 教科書については、「日本当局は拉致問題を極大化し」とした記述の改訂を県から求められた学校側が今年5月、記述を改訂したと報告。その際、拉致そのものが教科書から消え、黒岩知事が交付停止の意向を示したため、学校側が補助教材を作成した。

 改訂版教科書には「ダミー版」との疑いも出ているが、視察では生徒が改訂版を持っているのも確認したという。

 学校側は11日に黒岩知事を訪問し授業実施を報告する。ただ、昨夏の文部科学省による視察では歴史授業をなくす時間割の改竄(かいざん)などが判明。予定された視察では実態把握に限界があり、議会内では「補助金を受ける儀式に過ぎない」との見方もある。視察した議員の1人は産経新聞の取材に「一時的な対応との疑念を拭えず、継続して注視したい」とコメントした。

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