教諭聴取で解離性障害 唐津市に賠償命令

教諭聴取で解離性障害 唐津市に賠償命令
佐賀新聞 2013年12月14日更新

 唐津市内の中学校で2007年、同級生へのいたずらを疑われ、教諭から執拗に調べられたショックで解離性障害になったとして、当時3年生だった女性(20)と両親が、同市に慰謝料など約6200万円の損害賠償を求めていた訴訟の判決で、佐賀地裁は13日、「教諭の事情聴取は社会通念上認められる範囲を逸脱しており、解離性障害の発症と因果関係がある」として、同市に約1770万円を支払うよう命じた。

 訴状などによると、07年5月、同級生の上履きが刃物で切られるいたずらが発生。原告ら3人の女子生徒が疑われ、学年主任と担任の教諭2人から問いただされた。原告は関与を否定したが、教諭らは2日間計5時間半の事情聴取で認めるように迫り、原告はいたずらをしていないのに認めて被害生徒に謝罪。その影響で同年6月中旬以降、不登校になり、解離性障害を発症したとして、市側に損害賠償を求めて争っていた。

 判決で波多江真史裁判長は、教諭らの事情聴取について、警察に指紋を採取してもらうことを示唆するなど「恐怖心をあおって認めさせようとしている」と指摘。原告の言い分に耳を傾けず、認めない限り聴取を続ける姿勢も示しており「大きな精神的負担となる危険性があり、適切な方法とはいえない」とした。

 事情聴取と原告の解離性障害発症との因果関係については「教諭から殺される夢を見続け、聴取を契機に別人格が出てきたことを考えると、因果関係を認めるのが相当」と判断。診断が事情聴取の1年4カ月後だったことなどから、因果関係はないとする市側の主張を退けた。

 判決を受け市教委は同日夕、弁護士から説明を受けた。週明けにも教育委員会を開き、遅くとも24日の市議会閉会日までには控訴するかどうかの結論を出す考え。大塚稔教育長は「早急に判決内容を検討し、弁護士と相談の上、対応を決めたい。一日も早く原告の病状が回復することを願っています」とコメントを出した。

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