那須雪崩事故 積雪、区域設定、訓練続行…過失重ねた末の「人災」 教諭らに実刑
産経新聞 2024/5/30(木) 21:05配信
栃木県那須町のスキー場周辺で平成29年、登山講習中の県立大田原高の生徒ら8人が死亡した雪崩事故で、宇都宮地裁は30日、業務上過失致死傷罪に問われた教諭ら3人に禁錮2年の実刑判決を言い渡した。判決は、積雪状況を見誤り、訓練区域を明確に設定しないなど、教諭らが訓練開始前から過失を重ねた末の惨事を「相当重い不注意による人災」と断じた。
事故を巡っては積雪を受けて当日朝、講習内容が登山から、歩行訓練に変更され、訓練に参加した生徒らが雪崩に巻き込まれた。
訴訟では�\稱�発生を予見できたのか�∋�故を回避するために安全確保の措置を講じたのか−が主な争点となった。
判決が指摘したのは、複数の過失だ。
弁護側は�,如�当日の新たな積雪は約15センチで「雪崩を予見できなかった」と主張したが、判決は「少なくとも30センチの新雪があった」と認定。
現場は植物がまばらな急斜面で、雪崩が起きやすい環境だったことも踏まえれば、雪崩の発生と生徒らが巻き込まれる危険性を予見することは「十分可能だった」とした。
�△砲弔い討癲�計画変更時に「訓練区域が明確に設定されていなかった」と指摘。危険な区域に生徒らが入った後も「下山指示を積極的に出さず訓練を続けた」と、事故回避のための措置を取らなかったとした。
また、安全確保が強く求められる学校教育の一環として行われた講習会だったことも重視した。
判決は訓練が「緊張感を欠き、漫然と実施された」とも指摘。8人死亡の結果は重大で、「実刑は免れない」と結論づけた。(滝口亜希)