子供・保護者に認識不足も いじめに関する学校訪問調査結果 長野
産経新聞 2012年10月20日(土)7時55分配信
大津市で中学2年の男子生徒が自殺した問題を受けて、県と県教育委員会が県内全ての公立学校を対象に実施していた、いじめに関する学校訪問調査の結果が、18日の県教委定例会に報告された。調査で把握した対応中のいじめ事案は小学校が9件、中学校が12件、高校が12件。いじめを行う児童や生徒、さらにその保護者が遊びやふざけ、自分だけではないと考えている事例をはじめ、保護者の理解や協力が得られず解決の糸口が見えないケースなどもあり、改めていじめをめぐる深刻な実態が浮かび上がった。
仲良しの友人から無視や仲間外しをされ、担任教諭の指導で友人関係は落ち着いてきたが、家庭間の関係が修復しない▽一部児童による暴言や暴力があり担任の制止が利かない▽インターネット上へ個人を中傷する書き込みがあったが、加害者を特定できない▽複数の生徒から暴力や金銭教養を受けたことが発覚して一応の解決はしたが、被害生徒の不登校状態が続いている▽いじめを受けていることを生徒が認めず、いじめた側の指導ができない−。
現場で対応に苦慮する事例も多く、いじめた側にいじめとの認識がなかったり、保護者の協力が得られないなど家庭環境に問題がうかがえるケースもみられる事例もあった。さらにいじめる側やいじめを受ける側に発達障害がある場合については学校側の対応も困難さは増し、医療などの専門機関の支援が必要な事例もみられたという。
調査は小中高の各学校と課程、特別支援学校の689校で実施。調査ではいじめ根絶への先進的な実施事例なども聞き取り調査を実施しており、山口利幸教育長は「調査はいじめの問題についての意識喚起や共通認識、学校と行政との認識の共有などの面で一つの重要な取り組み。今後は具体的な防止策や対応策などに生かしていかなければいけない」と話している。