<部活事故>泣く人減らしたい 横浜の助教ら冊子作成

<部活事故>泣く人減らしたい 横浜の助教ら冊子作成
毎日新聞 2014年5月2日(金)14時0分配信

 部活動の安全な指導方法や事故が起きた際の適切な対応について、横浜市立大医学部の南部さおり助教(法医学)が調査し、冊子作りを進めている。名古屋市で柔道部の練習中の事故で死亡した高校生の母親の協力を得てまとめてきた。趣旨に賛同した名古屋市教委が全ての市立学校への配布を検討している。

 柔道の事故状況を調べていた南部助教は2012年、名古屋市立高校の1年だった倉田総嗣(そうし)さん(当時15歳)の母久子さん(53)と知り合った。南部助教は久子さんと交流し、学校現場向けの冊子作りを考えた。

 脳しんとうの危険性や、野球で投手がボールを投げすぎて肘を痛める「野球肘」の注意点などを医学的な知見を踏まえて幅広く解説している。

 柔道については、頭を打っていなくても重大な事故につながるケースを挙げ、「安全のため情報収集を行う必要がある」と裁判所で指摘される傾向を紹介。また、指導者が疲れ果てた初心者の中学1年の男子部員に技をかけて死亡させた例を挙げ、「非科学的な練習が続けばいつ事故が起きてもおかしくない」と強調している。

 南部助教は久子さんとともに、総嗣さんの事故に関わった学校関係者に話を聞いた。久子さんから、総嗣さんの事故の際、学校や市が情報を隠さず対応してくれたことを教えてもらい、「学校の事故では情報が満足に開示されない場合が多い。良い事例として伝えたい」として、事故が起きた場合の適切な情報公開の必要性を記した。

 冊子はほぼ完成しており、A4判約60ページ。久子さんは「子どもを指導する先生たちに読んでほしい。名古屋以外の他の地域にも広がれば」と話している。【巽賢司】

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