「幸せにしたかった…」58歳中学教諭の「純愛」はストーカーへと暴走

「幸せにしたかった…」58歳中学教諭の「純愛」はストーカーへと暴走
産経新聞 2014年5月24日(土)21時0分配信

 中年男の「純愛」は、女性にとって「ストーカー」そのものだった−。埼玉県警にストーカー規制法違反容疑で逮捕されたのは、さいたま市立中学校で教べんを執っている数学教諭(58)。「交際したかった」「結婚して、幸せにしたかった」。同僚だった20代の女性教諭に執拗(しつよう)に電話連絡し、時にはプレゼントまで。だが、その思いはついに実らず、交際が実現することはなかった。「このままでは凶悪犯罪につながる」。県警が逮捕に踏み切った数学教諭の一方的純愛とは。

 男は平成24年4月、現在の中学校に赴任。担当は数学で、担任は持っていなかった。課外では英語部で顧問を務めていたという。

 後に被害者となる20代の女性教諭はこの中学校で同僚だったが、直接的な接点はなかったようだ。校内で見かける女性教諭に一方的に好意を募らせていったとみられる。

 「教諭から電話が掛かってきて困っている」

 女性教諭から同校の校長にこうした相談があったのは25年2月のこと。さいたま市教育委員会によると、数学教諭は職員間の連絡網などを見て女性教諭の携帯電話の番号を把握したとみられる。電話の内容は交際や結婚を迫るものだった。勤務時間内外を問わず、掛かってきたという。

 ある日の朝、いつものように女性教諭が出勤すると、職員室の机の上にプレゼントが置かれていた。中身はディズニーのミュージカルのチケットだった。添えられた手紙には「一緒に行きませんか」などとつづられていたという。女性は即座にチケットを数学教諭に突き返し、断りを入れた。

 事態を把握した校長は数学教諭を呼び出して指導。すると、しばらくは目立った接触はなくなったという。

 だが、それも長くは続かなかった。ほとぼりが冷めると、数学教諭は再び執拗(しつよう)なストーカー行為を繰り返すようになる。女性教諭はついに、同年12月、県警浦和西署に被害を相談した。

 「あなた、それストーカーですよ」。県警や市教育委員会は、男性教諭に警告や注意を行った。教諭はそのときは「迷惑をかけて申し訳ない。すみません」と反省した様子を見せたという。だが、それも一時的な「反省」だったようだ。警察からの警告にもかかわらず、数学教諭のストーカー行為は続く。

 こうしたストーカー行為に伴う男からの「連絡」には、わいせつな内容や、脅迫めいた文言がみられることも珍しくはない。

 ところが、数学教諭の「連絡」には、そうしたものは一切なかったという。数学教諭が独身だったこともあり、市の関係者は「いやがる相手に繰り返し迫ったことは許されないが、内容だけを見ると『純愛』そのもののようだった」とも話している。

 数学教諭のストーカー行為は、女性教諭が他校に異動した今年4月に入ってからも続いた。

 「このままでは、相手の家に押しかけるなど凶悪犯罪につながりかねない」

 県警は、事案が女性の生命に関わる可能性があると判断し、5月14日、ストーカー規制法違反の疑いで数学教諭を逮捕した。逮捕容疑は4月4日〜12日の間、8回にわたり、女性教諭の携帯電話に連続して電話するストーカー行為をしたとしている。

 男は犯行当日の4日午後8時ごろ、女性の携帯電話に「劇場でお待ちしています。ぜひお越しくだい」と留守番電話のメッセージを残した。

 女性は直後に着信拒否の設定をしたが、その後も着信履歴には何件もの着信記録が。電話をかけ続けた理由について、男は「謝りたいと思ったが、電話がつながらなかったから」と弁明しているという。

 県警子ども女性安全対策課によると、平成25年中のストーカー事案の認知件数は1132件で、24年と比べて41件増加。うち口頭注意は474件、書面での警告は119件あり、同法違反で摘発されたのは73人にのぼる。

 ほとんどの加害者は、書面警告を受けた時点で手を引くというが、数学教諭は、「どれだけ振られても、どうしても諦めきれなかったようだ」(県警幹部)。

 市教委によると、数学教諭は現在、停職1カ月の懲戒処分中。県警幹部は「警察から何度も警告があったら、次はどうなるかはおのずと分かるはず。ましてや教育者が…」とあきれた様子で話した。

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