日大理事たちが怯える“ドン”の報復人事…「被害届」出せない異常事態のウラ側
日刊ゲンダイDIGITAL 2021/11/21(日) 9:06配信
「オレは関係ない。辞めることはない」
9月8日、東京地検特捜部が東京・阿佐谷にある「日大のドン」こと田中英寿理事長(74)の自宅に家宅捜索に入った。その2日後に開かれた理事会で、田中理事長は理事たちの前でこう居直った。
さらに1カ月後の先月7日、田中理事長の「最側近」といわれる前理事の井ノ口忠男(64)、医療法人「錦秀会」前理事長の籔本雅巳(61)の両被告が背任容疑で逮捕され、井ノ口被告は理事を辞任した。
それでも大学トップの田中理事長は責任を取るどころか、公の場にも姿を見せず、大学がホームページ上で形式的なコメントを出すのみ。大学は4億2000万円の損害を被った「被害者」にあたるというのに、被害届も出していない。
「田中理事長は周囲に対し、<井ノ口は大学の人間だから、被害届は出さない。大学としては被害を受けていない>と説明し、すべて理事長の一存で決められています。今月5日の理事会では、事件の調査にあたった弁護士から<大学の損失にはなっていない>という説明があった。三十数人いる理事のうち、被害届を出すべきだと主張したのは1人だけです。アメフト問題の時からそうですが、執行部に対して反対意見を言うと、すぐに飛ばされる。もともと理事は実質、田中理事長が決めているようなものですから、イエスマンばかり。案の定、被害届の提出は保留することになった」(日大関係者)
田中理事長は2008年に理事長に就任。以来、13年にわたって、国内最大のマンモス校の「ドン」として君臨してきた。
理事長が持つ最大の特権は「人事権」。田中理事長はその人事権を振りかざし、理事たちを意のままに動かしてきた。
「相手が教授だろうが何であろうが、関係ありません。気に入らないヤツがいると<おまえは北海道に異動>とか<おまえは九州>と言って地方に飛ばし、教職員たちを震え上がらせた。自分にタテつく連中はことごとく潰していった。そうやって誰も理事長には逆らえない状況をつくり出したのです」(日大関係者)
今回、井ノ口被告と籔本被告が大学側に損害を与えたとされる医療機器の納入問題でも、計画に反対した病院幹部が飛ばされている。井ノ口被告らは自らの利益を確保するため、病院側の意向など無視し、籔本被告の関連会社を介在させ、2億円高い契約を結ばせていた。
学校関係者からトップの責任を追及する声が上がる一方で、理事たちは報復人事を恐れ、思考停止状態。ドンが辞任しない限り、日大は何も変わらない。