高校柔道V10、体罰停職、脅迫逮捕…「ヤンキー先生」の天国と地獄

高校柔道V10、体罰停職、脅迫逮捕…「ヤンキー先生」の天国と地獄
産経新聞 2023/2/18(土) 18:00配信

「地獄に道連れじゃ」「必ず恨み倒したる」。知人女性(29)に無料通信アプリ「LINE(ライン)」でこんなメッセージを送ったとして兵庫県警が今月、脅迫の疑いで兵庫県立龍野北高校教員、三輪光容疑者(58)=同県姫路市=を逮捕した。三輪容疑者はかつて別の高校の柔道部を率い、10度以上の日本一を経験。独特の教育、指導法から「ヤンキー先生」としてテレビに出演したり、著書を出したりしていた。しかし、3年前に部員への体罰が発覚。停職処分を受け、部活動の指導からは遠ざかっていたという。著書で自らを「アホ」と自称していた熱血先生に何があったのか。

「こわもてだが、話してみると誠実で、子供のことを一生懸命に考えているという印象だった」

三輪容疑者を知る県内の教育関係者は、こう評する。以前の勤務先だった姫路市の県立飾磨(しかま)工業高校多部制(定時制)の柔道部を指導。その印象通り、熱い教えで部員を鍛え上げ、令和元年までに全国大会で10回を超える優勝を成し遂げた。

こうした功績や、問題児とされた生徒を柔道の指導を通じて更生させてきたことなどから「ヤンキー先生」と呼ばれ、テレビにも出演。自らの半生や、教育に関する考えなどをつづった「破天荒」(竹書房)などの著書も出版した。

著書では体罰に対する考えも記している。

≪体罰でもセクハラでもパワハラでも、誰が決めることなのか。外野は関係ない。当事者間でジャッジされることだろう≫

≪私はオブラートに包んで物申したり出来ない。ストレートに怒鳴り散らす。時には胸ぐらも掴む。ケツも蹴り上げる≫

こうした持論を披露したうえで、≪嫌ならクビにしてもらって結構!いつだって覚悟は出来ている≫としていた。

■一転、体罰で処分

そんな三輪容疑者の人生が暗転したのは、のだ。

当時の飾磨工高の説明によると、三輪容疑者らが大会で成績が振るわなかったとして、1、2年生の部員を叱責したところ、10人が集団で家出。すぐに発見されたが、その際に体罰を受けたことや、練習時間の長さなど厳しい指導があったことを学校側に訴えたという。

結局、県教委は三輪容疑者を停職3カ月の懲戒処分に。県教委によると、三輪容疑者は平成30年4月以降、部員らにたびたび体罰を加え、「殺す」「くず」などの暴言を吐くなどしたとされる。

龍野北高によると、三輪容疑者は停職が明けた後、同校定時制で勤務。部活動を担当することはなかったが、校長の補佐などを担う主幹教諭として熱心に働いていたという。

■「恨み倒したる」

しかし、県警は今年2月6日、令和3年4月〜4年5月に知人女性をラインで脅したとして、脅迫容疑で三輪容疑者を逮捕した。県警によると、三輪容疑者はラインで「地獄に道連れじゃ」「偽善者や」「必ず恨み倒したる」などというメッセージを送信したとされる。

県警によると、三輪容疑者は当初、「けんかの延長で脅迫したつもりはない」と容疑を否認していたが、その後、メッセージを送信し、脅したことを認めたという。県警は、三輪容疑者が女性に恨みを抱いていたとみて、詳しい動機などを調べている。

龍野北高の関係者は戸惑いを隠せない様子でこう話した。「心強く、頼もしい先生だった。生徒から暴言の申し立てもない。何があったのか、こちらも把握しきれていない」

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