大揺れ女子柔道、なぜ男子監督ばかりなのか?

大揺れ女子柔道、なぜ男子監督ばかりなのか? 
夕刊フジ 2013年2月2日(土)16時56分配信

 女子柔道界が大揺れだ。九州看護福祉大の教え子に性的暴行を加えた内柴正人被告(34)が有罪判決を受け、選手からパワハラで告発された日本代表の園田隆二監督(39)は辞任が決まった。そもそも女性の監督だったら起きなかったともいえる不祥事。女子柔道界には、なぜ男性の指導者が多いのか。

 女子部員を毒牙にかけた五輪金メダリストに厳刑が下った。準強姦罪に問われた内柴被告の裁判の判決公判が1日、東京地裁で開かれ、求刑通り、懲役5年の実刑判決が言い渡された(即日控訴)。

 片や日本代表監督の園田氏は、体罰や暴言を受けたとして選手15人から告発され騒動に。全日本柔道連盟(全柔連)に辞意を示し、1日に辞任が決定した。

 異なる2つの事案だが、似ている点もある。絶対的な上下関係の下、男性監督が教え子に手をかけたという点だ。

 「身体的接触が多い競技なのに、指導者のほとんどが男性なのが大きな原因。女子柔道界では指導者によるセクハラや体罰は珍しくはない」(関係者)

 この関係者によると、高校、大学の柔道部で女性指導者は増えつつあるが、依然として男性が多く、特に五輪出場を目指す代表監督では「皆無」という。

 スポーツジャーナリストの玉木正之氏は「ひとつには、引退した男子選手を食わせるため。柔道界では、先輩が後輩の就職の世話をする伝統がある。女子柔道のコーチ職も男子選手OBの食いぶちになっていて、女子選手にまでポストが回ってこない」と解説する。

 男性でもモラルが高く、人間性に優れていれば不祥事は起きない。だが、いまの柔道界は異質のようだ。

 「指導者の仕事に魅力が薄く、質の高い人材をのぞめない側面がある。代表コーチは海外遠征が多い激務なのに高給は期待できない。指導者の適性うんぬんより、『やれる人にやってもらわなければ』という状態」(全柔連関係者)

 前出の玉木氏は「柔道人口が減って選手の実力も落ち、地盤沈下が目立つ。柔道新興国のフランスのほうがよっぽどしっかりしている。女子柔道の問題もそうだが、柔道界全体で組織のガバナンスを見直す時期にきている」と話す。

 ロンドン五輪で男子の金メダルがゼロになるなどさまざまな意味で凋落するお家芸。復活への道は…。

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