いじめ:一人で悩まないで 電話相談時間延長やSOSレター活用で対策強化−−法務局と県人権擁護委連合会 /富山
毎日新聞 2012年8月29日(水)16時0分配信
大津市で中学2年生の男子生徒が自殺した問題を受け、富山地方法務局と県人権擁護委員連合会がいじめへの対策を強めている。2学期が始まった直後は心が不安定になりがちな期間だとして、「子どもの人権110番」と名付けた電話相談の時間を9月3日〜7日の間は午後7時までに延長する。また、子どもからの相談を手紙で受けてアドバイスなどをする取り組み「SOSミニレター」も活用していく。【大森治幸】
同局人権擁護課によると、学校でのいじめ事案として救済手続きを開始した件数は昨年72件あった。09年の34件、10年の65件と比べて増加傾向にある。
同局による救済方法は、当事者のいる学校に事案を把握しているか確認したり、適切な対応をするよう「勧告」などを行うことだ。一義的にはいじめは学校内の問題だとして、同局が当事者本人に接触することはないという。
いじめられている子どもから相談を受けたり解決に導いたりするため、同局や同連合会は「子どもの人権110番」とした専用の相談ダイヤル(0120・007・110)を設置。通常の受付時間は午前8時半〜午後5時15分だが、2学期開始直後の5日間は午後7時までに延長する。
また、家庭問題やいじめなどの相談を手紙で受ける「SOSミニレター」にも力を入れている。悩み事を書いて郵送する仕組みで、毎年10〜11月、県内すべての小中学生に学校を通じて専用の手紙を配布。届いた手紙には、委員がアドバイスなどを書いて返信する。
元教師で同連合会の田島昭子・子どもの人権部会長は「親には心配を掛けたくないし、先生には弱い自分を見せたくないとの理由で相談できない子もいる。そのような子どもにとって、ミニレターは『悩みを聞いてくれる人がいる』と思ってもらえる場になり、意義がある」と話す。
ミニレターによる昨年の相談件数は169通で、このうち学校でのいじめに関するものは65通あった。中には一人の子どもと複数回にわたって手紙のやりとりをするケースもあるといい、返信に書かれたアドバイスを実行して友人関係の悩みを解決した子どももいたという。
同局人権擁護課の城地香代課長も「手紙を書くことで自分の気持ちを整理できるという利点もある」と話し、電話やSOSレターの活用を呼びかけている。
8月29日朝刊