大阪府羽曳野市の住宅街で2018年に顔見知りの男性を刺殺したとして、殺人罪に問われた山本孝被告(49)の控訴審判決で、大阪高裁(小森田恵樹裁判長)は12日、懲役16年(求刑懲役20年)とした一審・大阪地裁判決を支持し、弁護側の控訴を退けた。「犯人性を認めた一審判決に事実誤認はない」と判断した。 事件は18年2月17日夜に発生。会社員の平山喬司さん(当時64)が路上で何者かに背中を刃物で刺され、出血性ショックで死亡した。平山さんは当時、山本被告の隣人宅に向かっているところだった。山本被告は4年後に逮捕・起訴されたが、「犯人ではありません」と一貫して無罪を主張していた。 一審判決は、隣人が置いた植木鉢をめぐって山本被告が不満を募らせ、たびたび隣人宅を訪れる平山さんにも警戒感を持っていたと指摘。犯人は事件前後に現場周辺のドライブレコーダーに映っていた人物で、そのタイミングや動きから、「見張り」のために一時外出したという山本被告と推認できると判断した。 控訴した弁護側は、隣人とのトラブルはささいなもので、殺害の動機になりえないと主張。犯人と山本被告を直接結びつける証拠がないなかで、一審判決は「被告に不利な間接事実を過度に重視した」と訴えていた。(花野雄太)