メルセデス・ベンツが日産の株式を売却、長年にわたる提携関係に終止符が打たれた。ロイター通信によると、メルセデス・ベンツの年金基金は保有していた日産株の3.8%を478億3000万円(3億2465万ドル)で売却したという。 とある大手自動車メーカーが、日産の株式を売却、長年にわたる提携関係がどうやら終焉を迎えたようだ。 日産から撤退すると報じられているのは、提携パートナーであるルノーや三菱自動車ではない。日産が今年最初の7ヶ月間で売上高が4.4%減少し、2025年6月30日までの3ヶ月間で790億円(5億3300万ドル)の純損失を計上した直後、メルセデス・ベンツが保有株を売却したのだ。 ロイター通信によると、日産株を売却したのはメルセデス・ベンツの年金基金だと言う。同紙によると、メルセデス・ベンツの年金基金は保有していた日産株の3.8%を478億3000万円(3億2465万ドル)で売却したという。売却価格は1株341.3円(2.30ドル)で、この株式の需要が供給を上回ったとのことだ。報道によると、多数の投資家が参加し、上位10社が売却された株式の約70%を保有したという。 この報道は、15年以上前に始まった日産とメルセデス・ベンツの提携関係に終止符を打つものと思われる。メルセデス・ベンツと日産の提携は2010年、欧州でのプロジェクトから始まった。その後、テネシー州の日産工場でメルセデス・ベンツ車用の4気筒エンジンを生産し、メルセデス・ベンツGLAとインフィニティQX30の共同開発・生産、そして米国以外の市場で販売された日産ナバラをベースとしたメルセデス・ベンツ初のピックアップトラックまで、両社の提携関係は拡大した。 日産は2021年にダイムラーの株式を売却している。この売却では、メルセデス・ベンツの株式1.5%から約12億ドルを取得したため、より大きな成果を上げたとみられている。一方、ベンツが日産の株式をいくらで取得したかは不明だが、2008年の金融危機の真っ只中に買収したのでなければ、損失を被ったことはほぼ確実と伝えられている。 売上高と利益は苦戦しているものの、日産は現在立て直しに取り組んでいる。新CEOのイヴァン・エスピノサ氏は、年間生産能力を100万台削減して250万台にし、生産工場の数をより持続可能なレベルにまで減らす計画を明らかにしている。 報道されているコスト削減策には、日産の主力工場と目される追浜工場の閉鎖も含まれている。また、横浜本社を売却してリースバックする計画もあるとの報道もあり、これにより、今後発売予定の電気自動車とガソリン車の開発に必要な約10億ドルの運転資金が捻出される可能性がある。 メルセデス・ベンツとの提携は終焉を迎えたが、ルノーは依然として日産の主要株主であり、日産・三菱・ルノーアライアンスに関連している。ルノーは日産の株式35.7%を保有しており、3社は最近、保有株式の一部をバランス調整しましたが、アライアンス契約に基づき株式は維持している。 日産の混乱は、前CEOのカルロス・ゴーン氏の突然の逮捕から始まったといっていいだろう。ゴーン氏は、売上と利益の増加を目指し、コスト削減と大規模な事業拡大を推進した。元・日産COOのアシュワニ・グプタ氏は2020年に、「世界の自動車市場が成長し、販売実績も好調になると期待して、世界展開を急ぎすぎました。しかし、そのどちらも実現しませんでした」と述べている。 メルセデス・ベンツが手を引き、苦しい状況が続く日産だが、本格的EV時代を迎える前に新たな手を打つことができるのか、注目される。