去年12月、北九州市で中学生2人が殺傷された事件で、逮捕された男が起訴されるかどうか、26日までに決まる見通しです。男の当時の精神状態を調べる鑑定留置は8か月にも及びました。検察の判断にどのような影響があるのでしょうか。 ■児玉悠一朗記者 「平原容疑者の身柄が、小倉南警察署から出てきました。表情を変えず、まっすぐ前を向いて乗り込んでいきます。」 殺人や殺人未遂などの疑いで逮捕された平原政徳容疑者(44)。 去年12月、北九州市小倉南区のファストフード店でレジに並んでいた当時、中学3年生だった2人をナイフで刺した疑いが持たれています。 腹部を刺された中島咲彩さん(当時15)が死亡しました。 腰を刺され重傷を負った男子中学生は「知らない人に刺された」と話し、“通り魔”による犯行も視野に捜査が進められていました。 急展開したのは事件から5日後でした。 ■児玉記者 「押収された車でしょうか。ナンバーが隠された黒のワンボックスカーが出てきました。」 警察は、事件の現場から1キロほどの場所に住む平原容疑者を、男子中学生に対する殺人未遂の疑いで逮捕しました。 捜査関係者によりますと、逃走に使われたとみられる平原容疑者の車の中からは血がついたナイフが見つかり、刺された2人のDNAが検出されたといいます。 逮捕当初、警察の取り調べに対し、平原容疑者は「事件前、被害者2人と目が合った」「女の子が襲いかかってきたので仕方なく反撃した」と話し、殺意を否定していたことが捜査関係者への取材で新たに分かりました。 平原容疑者は事件直前に別の場所で2人とすれ違ったとみられ、警察は、目が合ったと感じたことをきっかけに、一方的に2人に狙いをつけ、店に先回りして“待ち伏せ”した可能性もあるとみています。 検察は、平原容疑者について、刑事責任能力=事件の責任を問えるか判断するため、ことし1月から3か月間、事件当時の精神状態を調べる鑑定留置を行いました。 その後、別の専門家による2度目の鑑定留置が行われ、さらに延長が繰り返された結果、平原容疑者の鑑定留置期間は16日まで、8か月にも及んでいます。 一体なぜ、これほどの時間がかけられたのでしょうか。