麻薬取締法違反罪で起訴された俳優の清水尋也被告(26)が9月24日、勾留先の警視庁東京湾岸署から保釈された。保釈金は200万円。署から出てきた清水被告は、 「多くの方々にご心配とご迷惑をおかけしてしまったこと、深くおわび申し上げます」 と頭を下げた。拘置所生活でいくぶん痩せたようにも見えた。今後は兄で俳優の清水尚弥(30)を中心に、更生をサポートしていく。 清水被告は7月ごろと9月3日にそれぞれ、大麻を含む植物片を所持したとして逮捕。東京地検は7月の容疑は不起訴とし、今月3日の容疑では東京・杉並区の自宅で大麻0.392グラムを所持したとして麻薬取締法違反の罪で起訴した。捜査関係者によると、同被告は’19年の米国留学中に大麻を初体験し、帰国後も定期的に使用。9月の事件では同居女性も一緒に逮捕されたが、こちらは不起訴処分となっている。 また、清水被告と入れ替わる形で逮捕されたのが、俳優仲間の遠藤健慎容疑者(24)。同容疑者は清水被告と共同で大麻を所持した疑いが持たれている。’21年のNHK大河ドラマ『青天を衝け』にも出演経験があり、清水被告とは’18年の映画『ミスミソウ』などで共演。同容疑者が8月18日に更新したインスタグラムでは、清水被告との親しげなツーショットが掲載されている。 「清水被告に比べてまだ無名ですが、ドラマのオーディションでは必ずといっていいほど、顔を合わせますね。平身低頭で礼儀正しい男。まさか事件に関わっているとは思いもしませんでした」 とは遠藤容疑者を知る業界関係者。 遠藤容疑者は9月1日に清掃アルバイトの20代男性と一緒に清水被告の自宅を訪れていたという。清掃アルバイトの男も同法違反で逮捕されている。調べに対し、遠藤容疑者は容疑を否認している。 ◆乾燥大麻の持ち主は誰か 「清水被告は頑なに大麻の入手ルートを明かさなかったが、その後の調べで逮捕されたアルバイト男性経由で大麻を手に入れていたことがわかった。売人とやり取りしていたのも、このアルバイト男性。遠藤容疑者は清水被告の自宅をこれまで5回ほど訪れていた。当局は“草仲間”とみて捜査を続けている」(全国紙社会担当記者) 一方で、前出の同居女性が不起訴となったように遠藤容疑者の立件可否はわからない。清水被告も7月の事件では不起訴となっている。 「清水被告の自宅に乾燥大麻があったことは事実。この持ち主が誰か、ということが焦点。家主の清水被告は自分のものと認めているが、遠藤容疑者の場合は『家で大麻のようなものを見たが、私のものではない』と供述している。当局がそれをどう崩していくか。一部では『難しい』という指摘もある」(同・全国紙記者) それでも清水被告に加えて遠藤容疑者にもメスを入れた背景には、大麻の爆発的な広がりがある。もともと“ゲートウェイドラッグ”として知られ、海外では合法の国もあるため、犯罪意識が低い。 ’20年の新型コロナ禍で外出に制限がかかったあたりから、大麻の流通が爆発的に増えた。今年上半期に全国の税関で押収された大麻は1トンを超え、半年間の押収量としては過去最大。覚醒剤などの不正薬物の押収量は2073キロで、前年同時期に比べて33%増えた。 なかでも大麻の押収量は1332キロと前の年と比べ8倍あまりに増え、手がつけられない状況となっている。そこで、本サイトは元埼玉県警捜査1課の佐々木成三氏に話を聞いた。 「大麻の検挙状況を見ると、30歳未満がすでに全体の70%を超えており、特に20代が多く、高校生を含む未成年者の増加も目立っています。背景には、SNSを通じて誰でも容易に購入できる環境が広がっていること、そして若者でも手が届く価格で流通していることが大きな要因といえます。 警察としては、大麻の使用で“味をしめた”若者が、さらに強い刺激を求めて覚醒剤など他の薬物へと移行してしまうことを強く危惧しています。一方で、世間への警鐘を鳴らすために、警察が意図的に芸能人を狙って逮捕することはありません。ただし、芸能人が逮捕されれば、今回の清水被告のようにメディアが大きく報じることは事実です。警察もその影響力の大きさを十分に認識しています」 大麻に飽き足らず、その後MDMAやコカイン、覚醒剤などのヘビーなドラッグに移行していくケースはよくある。最近では米国などで猛威をふるうモルヒネの100倍の鎮痛作用を持つ合成麻薬“ゾンビドラッグ”が沖縄県などの一部地域で広がっていることが明らかになり、衝撃が走った。 安価なコストで製造が可能。極めて依存性が高く、摂取した人はゾンビのように体が硬直してしまう。国を滅ぼしかねないドラッグで当局は非常に警戒している。清水被告、遠藤容疑者の事件を見て、わずかでも若者の遵法精神が高まればいいのだが……。