ネタニヤフ首相、国連総会で強気の演説 その裏で警戒する各国の圧力

パレスチナ自治区ガザで戦闘を続けるイスラエルのネタニヤフ首相は26日、米ニューヨークで開かれている国連総会の一般討論で演説し、パレスチナを国家として承認する国が相次いでいることに対し、「恥ずべき決断」と批判した。イスラム組織ハマスには「武器を捨て、人質を解放しないなら追い詰める」と、戦闘の継続も訴えた。 対するハマスは、ネタニヤフ氏を「戦争犯罪者」と批判し、「パレスチナ国家の樹立は奪うことのできない権利だ」との声明を発表した。 演説では強気の姿勢を見せたネタニヤフ氏だが、国際的な圧力は強まっている。演説直前にはパレスチナ自治政府の関係者や、パレスチナを支持する国の関係者とみられる人が会場から退席。訪米する際には戦闘の停止を求める欧州の国の上空を避けるように迂回(うかい)した。国際刑事裁判所(ICC)が昨年11月に戦争犯罪などの容疑でネタニヤフ氏らに逮捕状を出したことも影響しているとみられる。 イスラエルの後ろ盾になってきたトランプ米大統領はアラブ諸国と会談し、戦闘の停止や人質の解放に向けて協議を実施。ネタニヤフ氏とも29日に会談する予定だ。 一方、国境なき医師団は26日、イスラエル軍が地上侵攻するガザ市での医療活動の停止を発表した。施設付近で空爆などが続いていたといい、「イスラエル軍による攻撃の激化は、スタッフにとって許容できないレベルの危険を生み出した」と理由を述べた。ガザの他の地域での活動は継続するという。(エルサレム=石原孝、ニューヨーク=田中恭太)

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