人気アイドルグループ「SKE48」の元メンバーでタレントの松井珠理奈さん(28)が29日、愛知県西尾市の県立鶴城丘高校で、生徒約700人を前に闇バイトの危険性を伝える防犯講話を行った。 県警西尾署の「一日署長」として同高を訪れた松井さんは「未来の明るい高校生は闇バイトに引っかからないで」と生徒たちに注意を呼びかけた。 松井さんが西尾市の特産品をPRする「鰻♥抹茶大好きアンバサダー」に就任している縁もあり、同市での防犯活動に一役買うことになった。 この日は最初に署員らが寸劇を織り込んで、高校生が特殊詐欺に加担してしまい逮捕されるまでの事例を説明した。 高校生役の女性警察官が交流サイト(SNS)で「日給4万円」という書き込みにつられて詐欺に応募。後に断ろうとするも、指示役から「親に何かあってもいいのか」などと脅される。その結果、警察官のふりをして高齢者からキャッシュカードをだまし取る、「受け子」として犯罪に加担し逮捕される流れを紹介した。 生徒たちと一緒に観劇した松井さんは、軽い気持ちで応募したことが、抜け出せなくなってしまう手口の恐ろしさについて触れ、「身の周りの家族のことを言われると怖くなってしまう」と指摘。万が一応募してしまった場合には、すぐに警察や家族に相談するよう呼びかけた。 松井さんの講話を聞いた3年の吉田花実さん(18)は「日ごろからスマホを使う機会が多いので、怪しい広告には気をつけようと思った」と話していた。 愛知県内では「闇バイト」などによる特殊詐欺の被害が大幅に増加している。県警によると、1~8月までの特殊詐欺の被害件数は前年同期比289件増の1240件で、被害金額は同約23億3600万円増の約49億4300万円となった。このうち、警察官語りの手口による被害金額は約29億3900万円を占めている。 同署の中島信彦署長は「詐欺だけでなく、強盗や殺人にも加担してしまう可能性があるので、応募する前に立ち止まってほしい」と呼びかけた。【丘絢太】