報道陣につかみかかった移民執行官、突き飛ばされるなどして記者1人負傷 米NY

(CNN) 米ニューヨーク市の移民裁判所で9月30日、取材中の記者らが移民税関捜査局(ICE)の執行官に突き飛ばされたりつかみかかられたりする事件があり、少なくとも記者1人が負傷した。 この場面をとらえた映像によると、カメラを持ったamニューヨークの記者など数人がエレベーターに乗り込んだところ、「警察」の文字入りの防弾ベストを着けた覆面姿の男性が記者につかみかかり、エレベーターの外に引きずり出した。ほかの数人も汚い言葉を使って「エレベーターを降りろ」と罵声を浴びせていた。 エレベーター前で写真を撮影していた女性は、覆面姿の執行官に突き飛ばされて、別の男性の上に倒れた。カメラを持ったこの男性も、執行官に突き飛ばされて床に倒れていた。 この乱闘には、AP通信などと契約しているフリーランスのカメラマン1人と、トルコ国営アナトリア通信の映像記者が巻き込まれた。 アナトリア通信の記者はけがを負い、担架に乗せられて搬送された。AP通信によれば残る2人の記者にけがはなかった。 現地の移民人権団体によると、執行官に突き飛ばされた記者らは逮捕の様子を取材していた。 国土安全保障省のトリシア・マクラフリン次官補はCNNに寄せた声明で、ICE執行官がペルーからの移民を逮捕していたところへ「扇動者と報道陣が群がった」と説明。「個人をそそのかして逮捕を妨害させる暴徒や聖域政治家が敵対的環境を積極的に作り出し、執行官や被拘束者や一般人を危険にさらしている」と主張した。 ICEのやり方をめぐっては全米で緊張が高まっている。執行官の行き過ぎを非難する声に対してICEは、執行官が身の危険にさらされていると反論している。 テキサス州ダラスでは先週、ICE事務所が襲撃されて留置されていた2人が死亡する事件が発生した。 先の週末にイリノイ州シカゴの郊外で行われた抗議デモでは、職員を殺すと脅したなどとしてデモ参加者4人が罪に問われている。これに先立ち同じビルにある移民裁判所では、女性がICE職員に突き飛ばされる事件があり、この職員は職務を解かれた。 移民支援団体や民主党の政治家からは非難が噴出している。 移民支援団体の代表は、「ICEは何の責任も問われることなく毎日ニューヨーク市民に対する残虐行為を行っている。出廷者の家族であれ、傍聴支援の市民であれ、憲法で保障された権利を行使して取材する記者であれ、ICEは人間の尊厳にも安全にも一切配慮しない姿勢を露骨に示している」と訴えた。 ニューヨーク州のキャシー・ホークル知事は30日の事件の映像をXに投稿し、「法を順守する移民とそれを取材する記者に対する権力の乱用は終わらせなければならない」と強調している。

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