ホロコーストを体験したユダヤ人がなぜ? ガザ侵攻2年「被害者意識」の深層

イスラエルのガザ侵攻が始まり、まもなく2年。パレスチナのおびただしい人々が虐殺され続けている。ナチスドイツによる大量虐殺(ホロコースト)を体験したユダヤ人が、なぜ同じような行為をしてしまうのか。9月30日放送のRKBラジオ『田畑竜介 Grooooow Up』で、イスラエル滞在経験が長い毎日新聞の大治朋子編集委員が解説した(聞き手・神戸金史・RKB毎日放送解説委員長)。 ■トランプ氏がイスラエル首相と合意 RKB神戸金史解説委員長(以下、神戸):けさ(9月30日)の読売新聞1面に、「トランプ氏 ガザ恒久停戦要求へ イスラエル首相と会談」という記事が出ています。ホワイトハウスでネタニヤフ首相と会談後に記者会見する方針という記事ですが、先ほど午前7時半過ぎに会見内容が読売新聞のサイトで報道されました。 トランプ大統領とネタニヤフ首相、20項目のガザ和平計画で合意…ハマス受け入れが焦点(読売新聞オンライン 7:37配信) 計画によると、戦闘を即時に終結させ、ハマスはイスラエルで拉致した人質全員を解放する。イスラエル軍は段階的にガザから撤退し、武器解除などを条件にハマスのメンバーには恩赦が与えられる。戦後の統治は、パレスチナ人や国際専門家による組織が担い、トランプ氏をトップとする国際組織が運営を監督する。治安維持のため、米国、アラブ諸国、国際パートナーが参加する「国際安定化部隊」を創設し、パレスチナ人の警察部隊を訓練する。戦後統治ではハマスはいかなる形でも関与しない。 神戸:これで停戦に動き始めたらとは思いますが、基本的にハマスを関与させないこと、人質を全員解放すること、イスラエルが求めていることが盛り込まれています。 ■福岡都市圏で30万人が殺されたイメージ 神戸:1週間後の10月7日は、2年前にハマスによる襲撃が起きた日です。2年間も大変な戦争が続いてきました。改めて振り返ってみます。 ガザ地区は長さ50キロで幅は5〜8キロ、細長い棒のような形をしています。面積は365平方キロ。福岡市(343平方キロ)と隣の春日市(14平方キロ)を足したくらいです。人口は、220万人超。福岡市(166万人)に、周辺の筑紫地区(筑紫野市・春日市・大野城市・太宰府市・那珂川市)と糸島市の6市(計54万人)を足すと、ほぼ220万人になります。 神戸:ガザ保健省は9月17日、パレスチナ人の死者数が6万5000人を超えたと発表しました。パレスチナの専門家である早稲田大学文学学術院の岡真理教授は「最近の紛争では、間接的な死者は直接的な死者の3〜15倍に上る」という統計がある、と紹介していました。6万5,000人の3〜15倍が間接死、けがをして亡くなったり、餓死したり。イスラエルは今、国際社会から「飢餓を兵器として使っている」と非常に強い非難を受けています。 直接死1人につき、少なめに4人の間接死がいたと想定すると、2年間で220万人のうち32万5,000人が亡くなっていることになります。イメージしてみてください。福岡市周辺の都市圏で、30万人が既に殺害されていて、街はほぼすべて、がれきと化している。これがガザの現状です。国連の人権理事会の調査委員会は9月16日に報告書を発表しています。ジェノサイド条約に基づいて法的に評価した結果、6万人以上のパレスチナ人の殺害や、強制的な移住、人道支援物資の搬入の阻止などイスラエル側による行為はジェノサイド(集団殺害)にあたると結論づけました。もちろんネタニヤフ首相は強く反発しています。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする