【ソウル聯合ニュース】韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領の妻、金建希(キム・ゴンヒ)氏を巡る複数の不正疑惑を捜査する特別検察官チームは2日、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)から違法な政治資金を受け取ったとして、尹氏の側近で最大野党「国民の力」の重鎮、権性東(クォン・ソンドン)国会議員を政治資金法違反の罪で起訴したと発表した。 権被告は尹政権と旧統一教会の癒着疑惑の発端とされる事件の中心人物。2022年1月、当時の旧統一教会幹部(公判中)から、大統領選に立候補した尹前大統領に組織票を入れる見返りとして教団の支援などを要請され、違法な政治資金1億ウォン(約1050万円)を受け取ったとされる。 特別検察官側は権被告の財産保全の申し立てを申請。ソウル中央地裁は2日にこれを認める決定を出した。犯罪行為によって得た収益は没収することができ、消費などで没収できない場合は保全された財産から追徴される。 また権被告には、22年2~3月に教団トップの韓鶴子(ハン・ハクジャ)総裁から現金が入った紙袋を受け取った疑いや、韓氏の海外賭博に関する捜査情報を教団側に漏らした疑いなどもある。 特別検察官側は8月28日に権被告の逮捕状を請求。権被告が国会議員であるため「不逮捕特権」により、令状審査を開くには逮捕同意案が国会で可決される必要があったが、9月11日の本会議で可決された。同月16日にソウル中央地裁で逮捕状発付の是非を判断する審査が開かれ、地裁は「証拠隠滅の恐れがある」として逮捕状を発付した。 特別検察官制度が始まってから「不逮捕特権」を持つ現職の国会議員が逮捕されるのは初めてだった。 権被告は特別検察官の捜査を「政治弾圧」とし、容疑を全面的に否認している。 一方、特別検察官は著名美術家の絵画を約1億4000万ウォンで購入して金建希氏の兄に贈り、見返りとして国民の力の公認候補選びで便宜を図るよう要請した容疑で先月18日に逮捕した金相玟(キム・サンミン)元検事も請託禁止法違反の罪でこの日起訴した。