10月1日、フジテレビで『もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう』(略称『もしがく』)の放送が始まった。脚本家・映画監督の三谷幸喜にとって、じつに25年ぶりの民放での連続ドラマ作品となる本作は、廃業の危機にあるストリップ小屋「WS(ワンダフルストリップ)劇場」を舞台に、菅田将暉、二階堂ふみ、神木隆之介、浜辺美波ら豪華キャストが個性豊かな舞台人・市井の人々を演じる群像劇だ。 神木が演じる放送作家・蓬莱省吾は三谷自身をモデルにしていて、彼は1980年代の一時期、実在のストリップ劇場「渋谷道頓堀劇場」に出入りしていた。1980年代初頭にデビューし、道頓堀劇場でもコントを披露していた「コント山口君と竹田君」の座付き作家であった三谷は、芸人たちの控室に使われていた劇場向かいのアパート2階に通い、そこから渋谷の街を日々眺めていたそうだ。 ここ20年近く、舞台だけでなく大河ドラマや映画などの大規模作品に関わってきた三谷にとって、若い世代のスタッフと協働して現代的な物語を描くことは難しい作業になっていたという。そんな自分が描けるリアルな時代・舞台とは何か? そのような疑問からたどり着いたのが、実際に彼が青春のある時期を過ごした、渋谷のストリップ劇場だった。 三谷幸喜をはじめ、ビートたけしや渥美清らが修行を積んだストリップ劇場の歴史と時代背景とは? 美術ライターの島貫泰介が解説する。